熟年離婚でもっとも揉めやすい慰謝料の問題をうまく解決する方法

■記憶を証拠とするために有効なのはカードの作成

この勝負に勝つには、とにかく記憶を喚起することです。出会いから決裂するまでのいろいろな出来事を可能な限り思い出すことです。人間の記憶は、出来事や場所については正確に覚えているものですが、日時については不正確になりがちです。それを防ぐには、とにかく思い出せる出来事(どこで喧嘩したとか、どこに旅行に行ったとか)を全て思い出し、それをカードなどに記載することです。そのようなカードが増えてくると、カードの順番が分かってきます。カードを並べ替えたりしていると、出来事があった日時も思い出せます。

パソコンが使えるなら、思い出せる出来事をとにかく文章作成ソフトで入力することです。その後、出来事の順番を入れ替えると立派な証拠となります。

 

■離婚訴訟では記憶が最優先される

裁判の証拠というと、契約書とか録音とか写真とか目に見えるものを想像すると思いますが、離婚訴訟で一番大事な証拠は、記憶です。夫婦の日常生活をすべて写真に撮ったり録音などしている人はいません。記憶を書面化したものを陳述書と言いますが、陳述書が一番重要な証拠となります。詳細な陳述書を出した方が裁判は有利に進みます。

慰謝料を多く要求したい妻は、恋愛時代から新婚時代、子育て期、倦怠期など詳細な陳述書を提出します。対する夫は、妻にもいろいろな不備があったという陳述書を提出します。最終的には、裁判官の前で夫婦双方の本人尋問をして裁判官が心証を形成して慰謝料額が決まります。

このように非常に面倒なことをする離婚訴訟をすると、どなたも二度としたくないと言います。訴訟になる前に話し合いや調停で決着したいものです。

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

【画像】イメージです

*sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

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星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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