ネットの掲示板で離婚しようか悩む女性投稿者の書き込みが話題になっていました。
掲示板を読むと、同居している夫の両親とそりが合わず大げんかしてしまい、その結果、夫との仲も悪くなったようです。幼い子供が二人いるので、離婚したとしても親権を取得できるのか、取得できたとして、養育費はきちんともらえるのかについて投稿者は悩んでいました。そこで、解決策として法的に何がポイントとなるのか解説していきたいと思います。
■法的に離婚が認められるのは関係性が修復可能か否か
まずは、離婚すべきか否かが問題となります。
結婚とは、夫婦それぞれが家族になることです。夫の家族とも法律的に家族になります(夫の家族のことを法律用語で姻族(いんぞく)と言い、お互いに助け合う義務が生じます。)ので、夫の家族とのソリが悪いと結婚生活にも支障が生じます。その支障の程度が修復不可能な程度に悪くなった場合、離婚できます。
掲示板を読む限り、相当程度が悪くなっているので、妻が望めば離婚できると思います。
離婚する際には、親権者を決めなければなりません。双方が合意して、夫か妻かに決まれば良いのですが、決まらない時は、家庭裁判所で、調停や審判をして決めることになります。
■養育費は夫婦の年収から自動的に決まる仕組みに
調停とは、家庭裁判所において、調停委員の仲介によって話し合って取り決めることです。一旦話し合いによって調停が成立すると、調停調書に書かれたことを遵守しないと強制執行を受けることになります。
審判とは、調停が成立しない時に、家庭裁判所が決定を出すことです。家庭裁判所の決定ですから、審判を遵守しないと強制執行を受けることになります。
日本の裁判所の実務では、幼い子供の親権者はほとんどの場合、妻とされます。最近は、夫に決まる割合も増えつつありますが、まだ少ないです。一概には言えませんが、今回のケースも妻に決まる可能性が高いと思います。
妻が親権者になると、離婚した夫は養育費を支払わなければなりません。養育費の額は、双方の合意で決めますが、決まらない時は、家庭裁判所で、調停や審判をして決めることになります。
昔は、養育費を決めるのに非常に時間がかかりましたが、今は、それほど時間がかかりません。算定表という計算式があり、そこに、夫の年収と妻の年収をいれれば、ほぼ自動的に決まります。算定表は、このリンク先(出典:裁判所ウェブサイト、養育費・婚姻費用算定表)から見られます。
例えば、夫の年収が500万円で妻の年収が100万円の場合、14歳以下の子供が二人いれば、養育費は二人分で月額6万円から8万円と決まります。
■養育費は公正証書にしておくことが鉄則
調停あるいは審判で養育費の額が決まれば、その養育費を支払わないと強制執行することができます。協議離婚する際に当事者間の話し合いで養育費を決めても、公正証書にしておかないと、強制執行はできないので、注意が必要です。その場合は、調停や審判をする必要があります。
以上、簡単に親権と養育費の説明をしました。今は、無料相談をしている弁護士が多いので、そのような無料相談を利用すると良いと思います。一人で悩まずに弁護士に相談することをおすすめします。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
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*oosan / PIXTA(ピクスタ)
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