ビジネスパーソンは、会社員として勤め先の企業からいろいろなものを支給されます。
お金だと、交通費、交際費、日当などであり、あるいは、名刺、筆記具、パソコンなどが支給されることもあります。
いずれも、会社の業務に使用するためのもであり、会社の業務以外に使うことは出来ません。仮に業務以外に使うと会社から懲戒されることがありえますし、ひどい場合は、刑事事件(背任、横領など)になりえます。
ところで、通勤のために電車やバスの定期券代を支給され、そのお金で定期券を購入したとします。その定期券を休日に使うことは、上記で説明した業務以外での使用とみなされ、会社から懲戒処分をされることがあるのでしょうか?
■正解は……懲戒処分にはならない! その理由は損害の有無
実は、そのようなことにはなりません。そもそも、休日に定期券を使っても会社になんらの損害も生じないからです。
もう少し詳しく言えば、通勤手当の場合は通常の交通費とは異なり、給与として課税されることもあります。
給与ですから、もらったあとにどのように使うかは、会社員の自由だと言うことです。毎月の定期券相当額が通勤手当として支給されているとして、1か月の定期券を買わずに、6か月の定期券を買い、定期券代を浮かしてもなんら問題はありません。
あるいは、定期券を買わずに、自転車で通勤して通勤手当を他の用途に使っても問題はありません。ただ、会社がそれを知った場合に、通勤手当を支給しなくなる可能性はありますが……。
*この記事は2015年7月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
*y_seki / PIXTA(ピクスタ)