台風をはじめとした水害、地震、火山の噴火など、日本は災害大国です。
そのような災害が発生したり、発生する蓋然性が高いとき、避難勧告がなされることがあります。このような勧告や指示が出された際、仮に住民が避難勧告に従わなかった場合、罰則はあるのでしょうか。
■避難勧告に従わなくても罰則はない
避難勧告とは、対象地域の土地や建物に被害が発生する発生するおそれがある場合に対象地域の住民に対して行われる勧告です。勧告するのは対象地域の市町村長です。市町村長は、各種の情報をもとに、勧告をするか否か判断します。
これは、災害対策基本法60条に基づくもので、罰則の定めはありません。したがって、住民は勧告に従わずに残ることもできます。
■避難指示にも罰則はない
避難勧告をする場合よりも災害の危険性が高いとき、避難指示がなされます。避難指示は、市町村長に限らず、都道府県知事や警察官などもすることができます。避難勧告よりも強い命令だといわれていますが、これに違反しても罰則はありません。
■警戒区域になると罰則がある
避難指示がなされたときに、警戒区域が指定されることがあります。警戒区域が指定された場合に、その区域内の住民が正当な理由なく警戒区域から避難しないと罰則があります。
以上は自然災害の場合ですが、原子力災害の場合も同様な避難勧告、指示、警戒区域などの定めがあります。
市町村長や都道府県知事には、各種機関から情報が寄せられます。その情報をもとに地域の実情を加味して、避難勧告がなされます。住民が独自の判断をするよりも、行政の判断の方が間違いが少ないと思います。災害時には、行政の判断に従った方がよいと思います。
*この記事は2015年6月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
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