夫婦が離婚する際に未成年の子がいる場合、夫婦のどちらかを親権者に決めなければなりません。
親権者を決める行為は、離婚時にもっとも揉める事のひとつで、更に離婚成立後にも「やっぱり自分に親権が欲しい」などと揉めることも少なくありません。
それでは、離婚の際に一度決まった親権者を、後日、他方の親に変更することは認められるのでしょうか。
結論としては、たとえ元夫婦間の合意があったとしても、親権者の変更は自由には認められず、必ず、家庭裁判所の調停や審判を経る必要があります。
そして、親権者の変更が認められるのは、「子の利益のため必要がある」ときに限られます(民法819条6項)。
すなわち、元夫婦の事情によって自由に親権者の変更を認めてしまうと、子どもの立場が不安定となり、子どもに不利益を与えるため、あくまでも子どもの利益のために必要がある場合に限定して、親権者の変更が認められるということです。
●こんな時は親権者の変更が認められる
「子の利益のため必要がある」ときの判断にあたっては、以下のような事情が考慮されます(新日本法規社・『離婚事件処理の実務』472頁より)。
(1)監護に対する意欲や能力
(2)父母の健康状態
(3)経済的家庭環境
(4)子の年齢や子自身の意向
(5)居住・教育環境
(6)子に対する愛情の程度
以上のような事情を総合的に考慮したうえで、裁判所は、これまでの一方の親による監護の実績を踏まえて、親権者を変更するだけの事情があるかを判断することになります。
ですので、親の都合のみで自由に変更できるわけではないことは覚えておくと良いでしょう。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)