「セクストーション」という言葉を知っているでしょうか。あまり聞きなれない言葉かもしれません。
「性的な」という意味の「sexual」という英単語と、「ゆすり」という意味の「extortion」という英単語を組み合わせた造語で、性的脅迫のことを指します。
昨年ごろからこの「セクストーション」の被害が増えているとされているのですが、そもそもセクストーションとはどのようにおこるものなのでしょうか。また、対策はあるのでしょうか。
■セクストーションの手口とは
セクストーションの被害は、もっぱらSNSなどで女性とやり取りをするところから始まります。
SNSのメッセージで見知らぬ女性からメッセージが届き、やり取りするうちに、女性から裸の写真の交換を持ちかけられ、女性から送られてきた写真を開くと電話帳のデータなどが抜き取られる不正アプリがインストールされ、後日、見知らぬ番号から着信があり、「あなたの電話帳の情報と写真を持っている。ばらまかれたくなければ、指定の金額を払え」という脅迫電話がかかってくる、という手口です。
他にも、プライベートな動画を見せ合おうとビデオチャット機能を持つアプリのインストールを持ちかけられたりする例もあるようです。
このように「セクストーション」は、はじめから脅迫の意図を持って、アプリを悪用して情報を吸い取るのが特徴で、もっぱら被害者は男性である点も特徴です。
■被害に遭わないためには自衛しかない
そもそも写真や動画のやり取りをしなければ被害に遭う可能性は低くなります。そのため、ネット上で知り合っただけの異性と性的な写真や動画をやり取りをしないというのが、実効的な対策といえます。
また、アプリのインストールを勧められることもあるようですが、アプリは公式ストアなど信頼できるところからのみインストールするように心がけるべきです。
そして、仮にセクストーションの被害を受けても、それに屈して支払うことは絶対に避けるべきです。要は口止め料を要求されているわけですが、要求通り支払ったからといってデータを削除してくれる保証もなければ、さらに被害に遭う可能性も否定できないためです。
被害にあった際は、いち早く警察に相談するべきでしょう。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*画像:kuro3 / PIXTA(ピクスタ)