自転車事故で賠償金「4,700万円」弁護士どう使う?

自転車事故で相手を死亡させたとして当事者に4,700万円の賠償を命じる判決が先月末にありました。

たかが自転車ですが、時には人を殺傷する凶器にもなるということで、ここ数年高額な賠償金を命じられるケースが増えてきているそうです。

飲酒や無灯火、スピード運転、自転車が脅威となるケースは意外とすぐそばに潜んでいます。もしあなたが自転車による重大事故の加害者となり裁判沙汰になったとして、弁護士とどのように付き合っていけばよいでしょうか?

普段法律や事故と無縁なあなたもいきなり法廷に立つことになるかもしれないツール「自転車」、基本的なことから改めて解説していきたいと思います。 

自転車事故

警察庁の調べによると、平成24年の自転車が関与する交通事故件数は13万2,048件で、交通事故全体の約2割を占めています。うち自転車の責任(過失)が大きい第1当事者事故は2万891件と自転車関与事故の15.8%を占めています。

自動車やバイクであれば、免許制度が整備され、講習を受けてルールを守ることが当然という意識が広まっていますが、自転車は免許制度がなく、子供からお年寄りまで気軽に乗車できるため、交通ルールを厳格に遵守するという意識が乏しいのが実態です。

しかし、自転車は道路交通法上、車両(軽車両)と位置付けられ、ルール違反に対しては刑事罰を科せられることがあります。例えば、酒酔い運転、夜間無灯火、各種標識違反、信号無視、安全運転義務違反、事故発生時の救護義務違反、事故報告義務違反などです。

また、自転車を運転していて不注意で人に怪我をさせたり死亡させたりすれば重過失致死傷罪(刑法211条1項後段)として自動車と同じく刑事罰が科せられます。

さらに、被害者に対しては民事上の損害賠償責任を負います。自転車の場合、自動車のように強制保険制度が整備されていないことや、個人で保険に加入していないケースが多いため、被害の程度によっては数千万円もの損害賠償責任を負わされ、保険によらず支払をしなければならなくなる場合もあります。

もし事故を起こしてしまった場合には、けが人がいれば直ぐに救急車を呼び、二次被害を避けるために自転車を安全な場所に移動させ、その場で110番通報をしてください。

また、救急車や警察が到着するまで、事故の発生状況や現場の様子をメモや携帯電話で写真にとり、けが人と話ができる場合は相手の住所、氏名、連絡先を聴きとっておくとよいでしょう。また、個人賠償責任保険(傷害保険、火災保険、自動車保険の特約で付保されていることがあります)に加入している場合は、保険会社に連絡をすることも忘れないようにしてください。

事故後は、刑事、民事の処理が必要となりますが、被害者には可能な限り謝罪を尽くし、お見舞いを欠かさず、必要な範囲で治療費等を立て替えながら被害者が治療に専念できる環境を作ってあげることが重要です。

また、刑事では、警察の取調べに真摯に応じ、ありのままの事実を伝え、被害者への謝罪と損害の回復に努める意思を明確に伝えていくことが必要です。

弁護士を依頼する場合は、交通事故処理に豊富な経験のある弁護士を選ぶことが重要です。できれば複数の弁護士に相談をしてみて、自分に最も合う、信頼できる弁護士を選ぶことをお勧めします。

弁護士には、刑事民事の両方の依頼が可能ですが、いずれの処理を依頼するのか、何をどこまで行ってもらえるのか、費用はどの程度かかるのか、追加費用はかかるのかなど、事前によく説明を受けて、必要があれば見積書を作ってもらい、最後は契約書を締結して依頼事項と費用を明確にしておくことが大切です。

弁護士に最初に相談する場合は、相談をスムーズに進めるためにも、事前に1、2枚の紙に、事故当日の流れと、事故後の経過を時系列で簡単にまとめて持参するとよいでしょう。

また、相談の際には、事故発生状況の把握が特に重要となりますので、事故現場の状況と事故発生に至る経過を、周囲の道路状況(できれば地図や写真を添付)、交通標識、当事者の位置関係、衝突箇所、転倒箇所などを図示しておくとよいです。

その他、当事者と日時場所を把握するための交通事故証明書や保険会社に提出した事故発生状況報告書、治療費を立て替えた場合は領収書等、個人賠償責任保険に加入している場合は保険証書など、適宜事故に関係する書類を持参してください。

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