4月に入社した新入社員の方々も、社会に出てもう間もなくひと月が過ぎようとしています。
まだまだ慣れないことだらけの人が多いとは思いますが、中には早くも?トンデモ言動を行う新入社員が現れているようです。
テレビやネットで取り上げられているトンデモ言動ですが、社会人としてのマナーの有無はさておき、それを法的に見たらどのように判断されるのでしょうか?5つの例を出して検証してみます。
■ゲームがしたくて有給取得
結論から言うと、原則セーフです。どういう理由で有給を取得しようと勤務先にとやかく言われる筋合いはありません。
「有給」というのは「年次有給休暇」の略で「年休」とも言われます。年次有給休暇とは、労働者に有給で与えられる休暇のことです。
労働者の働き過ぎを防止するために認められている制度です。
使用者は、その雇い入れた日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、それ以降の1年間に10労働日、6ヶ月を超えて継続勤務する日から起算した継続勤務年数1年ごとに一定の労働日をプラスして、最高で20日までの有給休暇を与えなければいけません。
年次有給休暇について、労働者には時季指定権があり、時季を指定することによって年休を請求することができます。
したがって、ゲームがしたくて有給取得というのも有りなわけです。
ただし、勤務先にも、時季変更権があり、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合、他の時季に与えることができます。
■入社式の翌日に有給取得
これはできません。
既に説明したように、年次有給休暇が与えられるためには、雇い入れの日から起算して6ヶ月以上継続勤務し全労働日の8割以上出勤しなければなりません。
4月入社の場合、9月まで働いて10月以降取得できるかどうかというものです。
したがって、入社翌日の新入社員に有給はありません。
■社内のスポーツ大会で上司をボコボコ
スポーツのルールに則って行われたものである限り、セーフです。
頼もしい奴だと思われるか、立場をわきまえない生意気な奴だと思われるかは知りませんが。
■上司に暴言
暴言の内容やその時の状況によります。
たとえ上司といえども他人です。上司の名誉感情とか社会的評価は保護に値します。
したがって、暴言の内容やその時の状況によっては、上司の名誉感情とか社会的評価を侵害したものとして、その新入社員に侮辱罪や名誉毀損罪が成立することもあります。
■誰に対してもタメ口
法的にはセーフです。
しかし、勤務先にしてみれば、取引先や訪問者に対してもタメ口をされたら堪りません。社会的にはアウトです。
そのままだと勤務先に自分の居場所がなくなるかもしれません。社内研修等で敬語をきっちり学びましょう。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)