YouTubeに動画をアップし、再生中に表示される広告などで収入を得る「YouTuber」が話題になっています。
高価な機材がなくてもスマホさえあればYouTuberを始められ、手軽に副収入を得られる(かもしれない)ので、今からでも副業として始めたいと思っている方もいるでしょう。
YouTuberの本業は様々で、YouTuberとして生活している人もいれば、学生や会社員、主婦など多岐に渡るようです。
ところで、会社員が副業でYouTuberとして活動し、副収入を稼いでいたとしたらどうなるのでしょうか?多くの会社では就業規則で兼業(副業)を禁止しています。そのような規則がある会社でYouTuberを副業にしていることがバレてしまったらどうなるのかについて、解説していきたいと思います。
●会社の許可なくYouTuberをしていることがバレたらどうなる?
YouTuberは継続的に動画をアップロードして収入を得るため、「業務」に当たり、副業禁止規定に触れることになります。
しかし、「副業禁止だけどブログから収入…解雇の理由になる?」の記事にあるとおり、勤務時間以外の余暇をどのように過ごすかは原則として労働者の自由なので、就業規則に副業禁止の定めがあったとしても、それにより労働者の副業が全面的に禁じられ、これに反した場合に必ず懲戒の対象となるわけではありません。
懲戒の対象になり得る例としては、(1)動画作りに勤しむあまり休養が十分に取れず、遅刻・欠勤・仕事上のミスが多くなった場合、(2)会社のノウハウ等業務上知り得た情報が動画に含まれている場合、(3)違法行為や品位を損なう内容の動画をアップしていた場合、(4)社内秩序を乱すと評価される内容の動画、例えば「社長の机の上で踊ってみた」などをアップしていた場合などが考えられるでしょう。
●公務員YouTuberになるのはかなり難しい
ご存知の方も多いように、公務員の場合は法律で兼業禁止が定められており(国家公務員法104条、地方公務員法38条等など)、民間企業よりも副業を行うことは厳しいです。
公務員の場合、副収入として十分な程度にYouTuberを行うことに対しては、任命権者の許可を必要とするでしょう。
では、YouTuberを行うことが許可されるかが問題になりますが、許可の要件には「公務員に対する信用を損なわないこと」、「公務員の身分上ふさわしくない性質を持たないこと」が含まれているため、どのような動画をアップする予定かについて報告を求められ、その結果、内容が不適切と判断されて不許可になる可能性も多分にあると思います。
副業許可が下りるような内容で、かつ、再生回数が多くなる動画を作るには、公務員の仕事を離れた分野での秀でた才能・特技が必要になるといえるでしょう。
YouTuberは手軽に始められる副業ではありますが、十分な副収入にしようとするあまり、本業をおろそかにしたり本業での業務査定に影響が出たりしないように注意することが必要でしょう。
*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣は料理、ランニング。)
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