忙しいから仕事しない!? 弁護士の不祥事の驚くべき内容とは

先日、一審で敗訴した弁護士が、控訴審で自分に有利に働くようにと、自分の名を隠し一審判決を批判する内容の論文を雑誌に投稿したことが明らかになりました。ひとことで言えば自作自演です。

このケースは稀ですが、他にも弁護士が不正を働くということは少なくありません。中には処分だけでは済まない、犯罪に手を染める弁護士もいます。

今回は弁護士の不祥事にはどのようなものがあるのかと、冒頭の自作自演のケースについて解説していきます。

弁護士法律

●預り金を着服する弁護士

弁護士の不祥事で最近増えているのは、依頼者の預り金を着服する事件です。これはどのように取り繕っても業務上横領という犯罪ですから、除名とか退会命令とかの重たい処分が弁護士会から下されますし、刑事裁判を受け懲役刑の判決を受けたりします。

●忙しいからと仕事をしない弁護士

次によく見るのが職務怠慢です。依頼者から着手金をもらいながら、なかなか事件処理に取りかからないような場合です。

忙しくて事件処理に取りかかれず、その旨依頼者から了解を得ていれば問題はありませんが、依頼者に事件処理をしていると嘘の報告をしながらサボっているような場合は、弁護士会から懲戒処分を受けます。悪質だと業務停止処分となったりします。

●他にも色々

その他、目に付くのは、事件の相手方から金品をもらい、相手方に有利に交渉を進めたりする利益相反行為もあります。これは、弁護士法に違反する行為であり、重い処分となります。

あるいは、依頼者とよく相談せずに和解をまとめたりすると、後に依頼者から不服だと言われ、懲戒処分を請求されたりします。

以上、代表的な不祥事を述べましたが、これらはいずれも依頼者の利益を侵害する事案です。

●今回のケースは犯罪ではないが、品位を損なう

今 回、記事になったのは、一審で一部敗訴した弁護士が、控訴審を有利に進めようとして、匿名で雑誌に一審判決を批判する記事を書き、その記事を控訴審で引用 したものです。この事例は、控訴審で全面勝訴するためにした行為であり、依頼者の利益になる行為です。それでも、日弁連は、弁護士の品位を傷つけるとし て、懲戒処分に付しました。

弁護士は、依頼者の利益のために戦いますが、単なる代理人ではなく、社会的正義を実現したり、人権を擁護するという公益に尽くす義務を負っています。そのような義務に違反したと判断したのだと思います。

いくら依頼者のためとは言え、雑誌に匿名の論文を載せ、それを控訴審で引用し、自分の依頼者に有利な判決を得ようとする行為は、控訴審を騙して勝訴判決を得ようとするものであり、法規には違反しませんが、弁護士の品位を損なうと判断したものだと思います。

ちなみに、控訴審は、ベテランの裁判官3人で構成されますので、雑誌論文があってもそれほど判決に影響はないと思われます。

今後、東京高等裁判所で弁護士会の懲戒処分が適正だったか否か判断されます。東京高等裁判所も日弁連と同じ判断をすると思いますが、なりゆきを注視したいと思います。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

スポンサードリンク
   
星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

コメント

コメント