内部告発。この言葉を聞いて皆さんはどういったイメージをお持ちでしょうか?「勇気ある行動!」、「しても意味あるのかな…」、「コソコソせずに正々堂々言えばいいのでは?!」、「そもそも、どこにどうやってすればいいの?」…と、そんなところでしょうか。
内部告発とは、組織や企業等に属する者が、その組織や同僚が行った不正行為などを、組織の上層部や監督官庁、マスコミなどに通報することをいいます。
内部告発の例は多岐にわたりますが、印象的なものを挙げると、雪印やミートホープなどの食品偽装問題が明るみになったのは内部告発がきっかけであったといわれています。
このような世間を騒がせたような事件もあれば、中小企業内の係長が行った小さな不正であっても部下がそれを社長に報告するような行為も一つの内部告発であるといえます。
●内部告発は怖いけど、告発者は法律で保護される
内部告発を行うに際し、誰しも気にすることは、「内部告発をしたことで組織内での立場が危うくならないか」ということではないでしょうか。
例えば、会社の不祥事を内部告発した結果、それを会社に対する裏切り行為であると捉えられ、会社をクビになりはしないだろうか、クビにならずとも出世できずに冷遇されるのではないだろうか、などとデメリットを考えて内部告発をためらうことも考えられます。
このような場合に、実は内部告発者を保護する法律があります。
●「公益通報者保護法」って何?
それは、「公益通報者保護法」という法律です。この法律は、労働者などが内部告発を行った結果、解雇や減給等の処分を受けたとしても、無効になるとすることを定めた法律です。したがって、行おうとする内部告発が私利私欲のためではない正当な内部告発である場合は、それにより不利益を受けないことになっています。
では一体、内部告発はどのように行えば良いのでしょうか?その答えは一つではないといえます。なぜなら、先ほども述べました通り、内部告発にはいろいろな種類があるため、「これが答えです」というものはご提示しにくいからです。
●どこに告発すればよいのか
組織内部の問題で片づけた方が適切な場合は組織内に設置された監督部署に行うべき場合もあるでしょう。
また、組織内の自浄機能が作用しない危惧がある場合は、監督官庁などの行政機関に対して行うべき場合もあるでしょう。さらには、組織的な犯罪行為である場合は警察、検察への通報、告発を行うべき場合もあれば、マスコミへ情報をリークすべき場合も考えられます。
なお、前述のミートホープ事件では、行政機関、警察、マスコミのいずれも内部告発当初はこれを黙殺したという驚くべき後日談がありました。事の真相は明らかになっているとはいえないかもしれませんが、私はこういった実態は十分にあり得ることだと考えます。
話が大きければ大きいほど、動く方としてはどうしても慎重になります(特に行政等を擁護しているわけではありません)。内部告発によって、告発した先の組織、行政、捜査機関等を動かすためには、それが良いか悪いかはともかく、ある程度精度の高い証拠や証言を突きつける必要が少なからず必要なのが実情でしょう。
●内部告発の前に弁護士に相談するのがベスト
皆さんも、内部告発を行う際には、告発する相手、その方法等につき弁護士に相談してみることをオススメします。弁護士は裁判で行っているように、物事を証明するプロであり、職務上、守秘義務があります。まさにうってつけの相談相手であると思います。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律相談所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)