憧れの「寝台特急」・・・駅に停車中でも「車内見学」したら違法に?

トワイライトエクスプレスや北斗星など、人気のある寝台特急の引退が相次ぎ発表され、チケットが数秒で完売するなど高い注目を浴びています。

乗りたくてもチケットがとれなかったファンにとっては、せめて入場券を買って駅構内に入り、停車中の列車を眺めたり、写真を撮ったり、中を見学してみたいという人も多いでしょう。

けれども、はたして停車中とは言え、乗車券や特急券を持たずに車内に入っても良いのでしょうか?今後発生しそうなこのケースについて解説したいと思います。

北斗星

●入場券では列車に立ち入ることができない

JRや私鉄各線の旅客営業規則では、入場券では列車に立ち入ることができないと定められていることが多いです(例:JRの旅客営業規則296条2項「入場券所持者は、列車に立ち入ることができない。ただし、当社が特に認める場合は、この限りでない。」)。

JR旅客営業規則の「当社が特に認める場合」とは車いすの旅客等介助を必要とする方を指定された席まで案内する場合などをいいますから、鉄道ファンが中を見学したいと言っても認められないでしょう。

 

●入場券で列車に立ち入っていることを見つかったら

旅客営業規則には規定はありませんが、施設管理権等に基づいてつまみ出されることになるでしょう。

なお、列車は「建造物」には当たらないので、建造物侵入罪には当たりません(もっとも、最初から列車に乗車する目的を持って入場券で改札を抜けた場合は、駅構内への立入りが建造物侵入罪となるでしょう)。

 

●車内に立ち入った上次の駅まで乗ってしまったら

この場合どうなるかは有名だと思いますが、JR旅客営業規則264条、267条により、正規運賃の3倍の料金を支払わなくてはならなくなります。

もし、仙台駅で北斗星内部を見学していたら降りそびれ、そのまま函館まで連れていかれてしまった場合は、約6万円を支払った上に朝の6時に函館駅で降ろされるでしょう(悪質とみなされなければ3倍の料金を取られない可能性もありますが)。

以上のように、停車中のちょっとの間だけでも入場券で列車に立ち入ることは認められていませんので、列車の中を見学するのは(諦めきれないかもしれませんが)諦めてください。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

*画像:Wikimedia

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

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