YouTubeなどの動画共有サイトには、著作権者以外の人間が無断でアップロードしたテレビ番組やミュージックビデオなどが数多く投稿されています。
そして、それらの動画の中には何百万回と再生されているものもあり、かなり多くの人が閲覧しているということでしょう。この記事を読んでいる方の中にも見た事がある人がいるかもしれません。
中には、これらの番組が違法にアップロードされた動画だと知りながら視聴している人もいると思いますが、法的に問題はないのでしょうか。
●違法性はある?
結論を言うと、違法にアップロードされた番組を見ても、違法にはなりません。
現行法上、違法になるのは、違法アップロードされた番組を、違法アップロードであると知りながら録画する場合に限られます。
ところで、YouTubeは、データをダウンロードすると同時に再生するという仕組みらしいですが、この場合はダウンロードしている時点で自分のパソコンなどにデータを保存(=録画)していることになります。
そうすると、YouTubeの視聴は違法になりそうにも思えます。しかし、YouTubeを視聴(再生)する仕組みである以上、これを違法とするべきとはいえません。
●違法にならない理由
この点は、著作権法47条の8が、「情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度」の複製は許されるとしており、この規定により著作権を侵害したことにはならないとされます。
したがって、少なくとも現時点では違法アップロードされた番組を見ても違法になることはありません。
なお、違法ダウンロードも世間では多数あるように思われますが、現時点では、個人的に利用する限度で違法ダウンロードしたものが処罰された例はないようです。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*画像: Chukcha / Shutterstock.com