根保証という言葉を聞いたことはありますか?
根保証とは、債務者が将来取引に伴って負担する債務について金額の限度や期限を定めないで(包括根保証)、または、金額の限度、期限もしくは取引の種類を定めて(限定根保証)、保証することをいいます(川井健・民法概論3[第2版]229頁)。
根保証は、継続的に発生する債務についての保証であり、金額の限度や期限が定められないこともあるので、通常の1回限りの取引についての債務の保証とは異なり、保証人が思わぬ負担を負う危険性があります。
そこで、保証人が個人の場合には、「貸金等根保証契約の保証人の責任等」に関する規定(民法465条の2以下)が設けられ、保証人の保護が図られています。
●保護の内容とは
具体的には、個人が保証人の場合には、金額の限度(極度額)を定めなければ根保証契約は効力を生じません(民法465条の2第1項)。
極度額が定められていれば、保証人としては、将来的に自分はいくらまで保証しなければならないのかが明確に分かるので、保証人が予期せぬ負担を負うという危険性がありません。
また、個人が保証人の根保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。
口約束によって安易に保証を引き受けてしまうことを防ぐための規定です。
さらに、保証期間についても、最大で5年間に限定されています(民法465条の3第1項)。
以上のように、個人が保証人の場合の根保証契約には、保証人を保護するための様々な規定がありますが、1回限りの取引の保証よりも保証人にとっての負担は大きいので、根保証契約の保証人になる際には慎重に判断する必要があります。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)