友達だけが見ているSNSにわいせつ(卑猥)な写真を掲載しようと思ったことはありますか?
友だちと温泉に入った時の写真や恋人との写真などなど…露出の多い写真を撮る人は多くいます。
例えばTwitterでは「鍵アカ」と呼ばれる非公開のアカウントで使用することが出来ますし、Facebookでも友人までの公開や、秘密のグループを設定することができます。ここに、わいせつな画像を掲載したとしても見るのは一部の自分が指定した人のみとなります。
このような限られた公開範囲にわいせつな写真を公開することは問題ないのでしょうか?他人にはなかなか聞きにくいテーマですが、意外とみなさん気になっている人も多い用です。今回はこのテーマについて解説したいと思います。
●そもそも「わいせつ」って何?
わいせつというだけでは抽象的でよくわかりませんが、判例によればわいせつとは「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」と定義されているのですが、正直これも具体的な基準は全くわかりません。簡単に言ってしまえば、性器が写ってしまうとNGということになるでしょう。
では、性器の写真を友達だけが見ているSNSに掲載することは違法なのでしょうか。
●わいせつ物公然陳列罪が関係してくる
関係してくる法律は刑法175条のわいせつ物公然陳列罪です。わいせつ物公然陳列罪は、わいせつな文書、図画、電磁的記録を公然と陳列した場合が罪になると規定しており、2年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されます。
SNSに掲載した写真は「電磁的記録」に該当しますので、問題はSNSに掲載することが「公然陳列」に該当するかどうかです。この「公然陳列」というのは「不特定または多数の人間が認識できる状態」を指しますので、写真を掲載したSNSが不特定多数の人が閲覧できる状態であれば公然陳列にあたり、わいせつ物公然陳列罪になります。
友達だけということであっても、複数の友達が閲覧できるSNSであれば、特定であっても多数の人間に公然陳列したことになるのでアウトです。となると、ほとんどのケースで違法となり、かろうじて合法の可能性があるのが、1名の特定の知人だけが閲覧できる状況のSNSに掲載した場合のみと思われます。
●児童ポルノ法も
ただし、掲載する写真が18歳未満の児童のものである場合には、わいせつ物公然陳列罪だけでなく児童ポルノ法が問題となり、処罰範囲はかなり広がります。児童ポルノ法は18歳未満の児童のポルノ画像をSNSに掲載しなくても所持しているだけで犯罪ですので、当然SNSへの掲載も問答無用で違法です。
なお、ポルノ画像とは、わいせつ物公然陳列罪の「わいせつ」よりも範囲が広く、性器にとどまらず、性器の周辺部、臀部、胸部が写っている場合まで含みます。したがって、児童のわいせつ写真を掲示する行為はほぼ100パーセント違法になると思って間違いありません。ちなみに、この規定に反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
わいせつ画像についてはいろいろ規定がありますが、ほとんどのケースで違法となります。ですので、知人だけしか見ないので問題ないだろうという甘い考えで、冗談半分にわいせつ画像をSNSに掲示したりすることは絶対に避けた方が良いでしょう。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)