神戸市で起きた凄惨な事件を受けて、子どもの安全に対する意識が高まっています。
子どもに携帯電話を持たせたり、防犯ブザーを持たせるなど、既に色々な安全対策が行われていますが、それでも誘拐事件などは後を絶ちません。
帰宅するはずの時間に子どもが帰宅しないというこは少なからずあるでしょう。しかし、電話に繋がらない、いるはずの場所にもいないなどの場合に、「どこかで遊んでいるんだな」と楽観視するわけにもいかず「事件に巻き込まれているかも」など、不安な気持ちになるかと思います。
そこでパニックになってしまっては子どものためにも良くありません。まず、保護者が何をするべきなのかを知っておく必要があります。実際に子どもの行方が分からなくなった際に、どうすれば良いのかを解説して行きます。
■帰宅時間の把握
お子さんが塾や友達の家に遊びに行く際、帰宅予定時刻をできるだけ把握しておきましょう。
当たり前ですが、万が一、事故や事件に巻き込まれたとき、初動が早ければ早いほど、解決の選択肢が増え、無事に解決する可能性も上がります。
すぐに異常を認識し、事故や事件として対処するためには、日ごろから、帰宅予定時刻についてコミュニケーションを図ることが大事です。
何らの連絡がなく帰宅予定時間を過ぎた場合に、素早く動けます。
■警察への相談
異常だと思ったら、躊躇せずに警察に相談しましょう。
事件や事故でなく、杞憂に終わっても、故意による誤報でなければ、警察に文句を言われることもまずないでしょう。
躊躇わずに子供の安否について相談して下さい。
■警察への情報提供
警察に相談する際、身元情報、身体的特徴の他、例えば携帯などの所持品があれば、それも伝えましょう。近年はGPSの位置情報を受信できる携帯も多くなっており、捜索の助けとなります。
■公開捜査と非公開捜査
事件の内容により、公開捜査に踏み切る場合もありますが、公開すると子供の命に係わるような場合には、非公開で捜査することになります。
事件性があって誘拐の可能性が高い場合には、難しい判断を迫られます。
■事件後の対応
事件や事故が無事解決した場合でも犯人が監禁や誘拐、傷害などの犯罪行為を行っている場合には、刑事手続きとともに、民事での損害賠償請求が可能です。
危険な性格をもつ犯人に向かって損害賠償請求するのは心理的にもハードルが高いと思いますが、被害者弁護を弁護士に依頼し、前面に立ってもらうことも可能です。
あまり知られていませんが、民事の損害賠償請求だけではなく、犯罪内容によっては刑事手続きに参加する被害者にも代理人弁護士を付けられる制度があります。
刑事裁判の場で、被害者の意見や心情を述べ、裁判所に聞いてもらうことができます。
■検察との協力
犯人逮捕後、捜査が進むと検察庁から事情聴取の協力を求められます。
事情聴取にはもちろん子供だけではなく、保護者が付き添うことができます。
その後の刑事手続きについて、後半の日程や処分内容を教えてくれることもありますので、検察庁の被害者相談担当にも相談しておきましょう。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)