「初体験は?」でアウト…同性間でもセクハラになる

皆さんは同性間でもセクシュアル・ハラスメント(以下:セクハラ)は成立すると思いますか?

例えば「初体験は?」「風俗店行け」などのありがちな会話ではどうでしょうか。そもそもどこからがセクハラでどこまではセクハラではないのか、あまり知られていません。

今回は同性間のセクハラについて成立するのかの解説と、セクハラの線引き、そしてセクハラがあった際に負う責任についてお話します。

リーマン

■同性間でもセクハラは成立する

2014年7月1日、職場におけるには同性に対するものも含まれることを明示した男女雇用機会均等法に基づく改正指針が施行されました。

セクハラとは、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」(「対価型」)又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」(「環境型」)をいいます。

「対価型」の例としては、性的関係を拒否した従業員を解雇等不利益な取り扱いをすること、「環境型」の例としては、性的な言動を受けた従業員が会社に居づらくなり退職を余儀なくされてしまうこと等が挙げられます。

また、セクハラの態様としては、身体的接触等直接的な行動を伴うものだけではなく、性的な内容の発言も含まれます。

男女雇用機会均等法により、企業には、セクハラの予防と事後の迅速・適切な対応について具体的な対策を実施することが義務化されています。

 

■相手が不快に思えば同性間でもセクハラ

どこからがセクハラかという線引きは難しい問題ですが、(ある程度の客観性を前提として)相手の意に反していること、相手が不快に思うことが重要な指標となっています。表題のようなやりとりは、仲の良い同僚間ではよくみられるもので不快と思わない人も多いかもしれません。

しかし、前述の通り、同性間でも、また、性的な発言のみでもセクハラが成立することを踏まえると、状況によってはこれらの発言がセクハラと言える可能性は十分にあります。行動している当人にとっては軽い冗談やスキンシップとしてのボディタッチだと考えていたとしても、相手が不快に思っていれば、それはセクハラであると考えるべきです。

同性間でのセクハラが裁判で争われる場面はまだ多くないですが、異性間での性的な内容の発言が裁判でセクハラと認定されることは多く、例えば、これまでにセクハラと認定されたケースのうち、異性関係を噂として流布することや男いらずと揶揄することは、同性間でも十分に想定しうる場面ではないでしょうか。

 

■セクハラに対する責任は、加害者本人のみではなく会社までもが負うことも

セクハラは、民法上、不法行為(民法709条)と評価されるため、加害者は被害者に対し、損害賠償責任を負います。また、多くのケースでは、高額な慰謝料や退職を余儀なくされたことによる逸失利益への賠償も認定されています。さらに、加害者は、会社から懲戒処分を受けることもあり、性的な内容の発言をした加害者が懲戒解雇されたことが裁判で有効とされたケースもあります。

また、加害者を雇用する会社が使用者責任(民法715条)により被害者に損害賠償責任を負うこともあり、会社の使用者責任が認められるケースは増えてきています。さらに、前述のとおり、会社は男女雇用機会均等法により雇用管理上必要な配慮を行うことが義務付けられているので、措置義務違反への是正勧告に応じない場合は企業名が公表されることもあります。

 

■終わりに

以上のように、同性間のセクハラも被害者・加害者・会社すべてに対する大きなリスクになり得ます。会社は、同性間でのセクハラも想定した上でセクハラ防止の体制整備に努め、従業員へのコンプライアンス研修を徹底する必要があるでしょう。

 

*著者:弁護士 鈴木翔太(法律事務所ホームワン。東京弁護士会所属。「依頼者の立場に立って考える」ということを基本に据えている。)

「初体験は?」「風俗店行け」 同性間でもセクハラです

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鈴木 翔太 すずきしょうた 弁護士

鈴木法律事務所

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