首都高で左車線を走っていた所、右車線の車が迫ってきて接触する事故の様子がYouTubeにアップされていました。
これだけならありがちな事故なのですが、右車線の車が迫ってくるのに合わせて、撮影している車も右車線に寄っていき、自分からぶつかりに行っているように見えるため話題となっていたようです。
●右側の車両に過失が認められる
映像だけでは音が聞こえないので、接触したのかどうかわかりませんが、接触したとすれば、明らかに右側の車両が黄色いラインを跨いで左側車線に入ってきたのですから、進路変更禁止違反で、右側の車両に過失が認められることになります。
過失が認められたとして、運転手が怪我をしていなければ、業務上過失致傷などの刑事責任を追及されることはありません。
問題は接触による物損ですが、追い越し車線から走行車線への進路変更による接触の場合、過失の基本割合は、直進車両3:進路変更車両7となります。
しかし、並進中の側面衝突では、直進車両の側方への注意義務は、前方への注意義務より低く、回避も容易でないので、車線変更した車両の過失が1割から2割加重されます。しかも、それが進路変更禁止区間の場合には、進路変更した車両の過失は1割加重されます。
本件では首都高速で、右側の車両が黄色いラインを跨いで左側の車両の前方に出ようとして接触しているので、過失が2割から3割加重される事になり、右側の車両の過失が9割から10割、左側の車両の過失が0から1割ということになります。
●左側の車両が右に寄る行為に問題は
その後、左側の車両が右側の斜線を跨いでいるように見えますが、これは接触による反動で右側に寄っているように見えますので、過失はないと考えます。
そもそも左側の車両が右側の車線を跨いだのは、右側の車両が車線変更しようとしたからで、その原因は右側の車両にあるからです。しかも、接触したのであれば、その衝撃で、左側の車両が右側の車線にはみ出ることもありえ、左側の車両がこれを回避するのは容易でないと思えるからです。
*著者:弁護士 桐生貴央(広尾総合法律事務所。「人のために 正しく 仲良く 元気良く」「凍てついた心を溶かす春の太陽」宜しくお願いします。)
*動画・画像はYouTube「ドライブレコーダーぶつけられた瞬間」より