終わらない「閉店セール」の謎…法律上問題ないの?

いつ行っても「閉店セール」をしているお店ありませんか?

「改装閉店」や「閉店セール」と言われると、つい買い物してしまうこともありますよね。それなのに、いつまでたっても閉店することなく、営業を続けているお店を見てもやもやした気分になったことがある方もいるでしょう。

そもそも、実際には閉店するつもりがないのに「閉店セール」と銘打って営業しているのは、法律的に問題がないのでしょうか。検証します。

買い物■不当表示となるおそれ

実際には閉店することなく、翌日も、翌週も、翌月も継続して営業しているにもかかわらず、常時閉店セールと大々的に宣伝して、客の読み込みを図ること自体は、基本的には違法ではないと考えられます。ただし、閉店セールと呼びかけることよりも、閉店セールの際の店内における商品の価格表示が法律上問題となる可能性が高いです。

実際には、常時、同じような価格で販売しているのに、あたかも閉店セールを実施中であるために今だけ当該価格で販売されているかのような価格表示は、一般消費者に対し、商品購買の際の重要な考慮要素である価格の比較判断について大きな誤解を与える原因となります。

景品表示法は、このように消費者に誤解を与えかねない価格の「不当表示」を禁止しています。

不当表示は、消費者に誤解を与え、購入の判断を誤らせるだけでなく、結果として、競業他社との公正な自由競争をも阻害し、社会全体に対しても不利益をもたらすためです。

 

■どのような場合に違法となるか

例えば、セール価格との比較対象とされている過去や将来の販売価格(セール前価格等)が、実際には全く適用されない、あるいは適用されたことがないような場合には、景品表示法が禁止している不当な二重価格表示となる可能性があります。

消費者庁のガイドラインでは、(1)「過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格」かどうか、(2)「最近相当期間にわたって販売されていた価格とはいえない価格を比較対照価格に用いるときは、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるか等その内容を正確に表示しているか」かどうか、によって違法性を判断するとされています。

したがって、実際には、全く販売されたことのないセール前価格を対比として表示することによって、現在のセール価格が不当に安いとの誤解を消費者に与えるおそれがある場合には、景品表示法に違反する可能性があります。

 

■景品表示法に違反した場合

消費者庁から是正を求める措置命令が下されます。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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