海外では俳優や女優、ミュージシャンなどが次々にゲイやレズであることを告白しています。同性結婚をする著名人もいます。
しかし、男性と男性、女性と女性での結婚を同性結婚といいますが、現在日本では同性結婚は認められていません。
もちろん、交際し、同棲するだけであったり、あるいは結婚式を挙げたりすることは自由ですが、法的な意味での「婚姻」ということは認められておりません。
ですので、相続権などは発生しませんし、姓を変更することもできません。今回はこの同性結婚について考えてみたいと思います。
■海外ではどうなっているのか
海外では、同性同士の法律的な結婚を認めている国が多数あります。ヨーロッパではイギリス、フランス、オランダ、ポルトガル、スペインなどで同性結婚が認められています。北欧諸国のノルウェー、スウェーデン、デンマークなどでも認められています。ほかにも導入を検討している国が多数あります。
アメリカでは州によって異なりますが、カリフォルニア州、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ワシントン州など複数の州で同性結婚が認められています。カナダも全面的に同性結婚が認められています。
これに対し、アフリカ諸国や中近東では同性結婚を認める国はあまりありません。逆に同性結婚は刑罰と定められている国もあり、死刑や終身刑という重罰が科せられる国もあるようです。
このように、世界中を見回すと、同性結婚制度は賛否両論あるものの、世界的な趨勢としては同性結婚を容認する方向で動いているといっていいでしょう。
■日本の現状は
ところが最初に述べたように、日本では同性結婚は全く認められていません。
例外として、性同一性障害を持った方については、医師の診断を条件に家庭裁判所の審判で他の性別に変更することができますので、例えばもともと女性であった人が男性に性別を変更し、女性と結婚するということは可能です。
しかしながら、これはあくまでも性同一性障害を持った方の例外であり、ただ単に同性結婚がしたいという理由だけでは同性結婚ができないことに変わりありません。
ですから、日本で同性結婚を希望する方は「養子縁組」という形を取り、結婚ではないものの養子として親族になるという方法を取られる方も多いようです。
■日本で同性結婚するには…
結局のところ、現在の日本で同性結婚をするためには、同性結婚を認めている国の人間と結婚するか、双方とも日本人である場合には、双方(もしくは一方)がその国の国籍を取得して、その国の法律で結婚するしかありません。
日本人同士である以上は、日本の法律では同性結婚をすることはできないのです。
同性結婚については国内でもそれほど議論の対象とならず、国会内で議論はなされているようですが、いまだに法制化の動きは見られません。
しかしながら、日本国内でも同性結婚を希望する方が少なからずいらっしゃるものと思われます。私としては、そのような方がいる以上、ただ単に「前例がない」というだけでシャットアウトするのではなく、少なくとも議論の対象として国会で審理されてもよろしいのではないかと思います。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)