CHAGE and ASKAのASKA容疑者が、覚せい剤取締法違反で逮捕されたこと受けて、相方のCHAGE氏は数年前から「薬はもうやめろ」などとASKA容疑者に対して助言してたと報じられました。
そこで、自分の知る人物が違法な薬物を使用していることを知りながら警察などに申し出ないことは法律上問題ないのでしょうか?薬物意外にも違法行為を行っている人物を知っている場合、自分はどうすれば良いのでしょうか?
■見て見ぬふりは犯罪か
まず、薬物についてみていきましょう。
友人が覚せい剤を持っている、あるいは、使用しているのを知っていながら、警察に告発しなかったとしても、基本的には罪になりません。
刑法上は、自ら犯罪に着手する「正犯」と、他人に犯罪をやらせる「教唆犯」、そして、他人の犯罪行為を手伝う「幇助犯」があり、ここで問題になるのは、一番最後の「幇助犯」が成立するかどうかということになります。
これが成立するためには、少なくとも正犯の行為を促進したり、容易にしたりという関係が認められなければなりません。でなければ、見て見ぬふりが全て犯罪になりかねないからです。
友人が覚せい剤を持っていた場合に、さりげなく注射器を見付けやすいところに置いておいたとか、「最近悩んでるんだろう?やっちゃえよ、楽になるぞ。」とか、こんなことをやったり、言ったりしてしまうと、その友人が「そうか、やっちぇおう。」なんて気になってしまうので、こういう場合は「幇助犯」として罪になりますが、そういう場合でなければ罪になりません。
■飲酒運転の場合は
比較的「幇助犯」が成立しやすい犯罪としては、飲酒運転の幇助犯ですね。
友人が車の運転手だと知っていながらお酒を勧めるなどは言語道断ですが、友人が飲酒したと言う事実を知っていながら、同乗して家まで送ってもらったなんていうくらいでも、立派な飲酒運転罪の「幇助犯」が成立するのです。
まぁ、どのような場合でも、真の友人であるならば、犯罪に手を染める状況を見たら、「やめとけ。」と真心を持って止めるべきでしょうね。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)