歌手の華原朋美さん(39)にアプローチをしていたと思われていた、明治天皇の玄孫、竹田恒泰さん(38)が、じつは元AKB48で女優の畑山亜梨紗さん(23)と交際をしていることが報じられたそうです。
例えば配偶者が不倫をしていた場合には慰謝料請求など法的な対応を執ることが可能ですが、華原朋美さんのように当事者ともに独身である場合にはどうなるのでしょうか?
弁護士の私が検討してみたいと思います。
独身男性(もちろん女性でもありえますが)が二股(あるいは三股も四股も同じです)した場合ですが、道義的には非常に問題ありの行為です。
二股された方は何とかしてペナルティーを与えたいという心情になるのは当然でしょう。私自身もそのような相談をよく受けます。
ところが、なんと法律上はただ単に交際をしている段階での二股交際は違法とはならないのです。ですので、二股男は当然犯罪として処罰されることはありませんし、慰謝料等の賠償を二股男に求めることもできません。
二股された方としては泣き寝入りするしかなく、到底納得いかないものだと思いますが、法律上の考え方としては、単なる交際の状態では法律が介入する状態ではないということなのです。
■二股男と婚約が成立している場合は
しかしながら、単なる交際ではなく、その男性との間で婚約が成立していると評価される場合には、二股行為によって婚約が破談になったという状況であれば、二股男に慰謝料を請求することが可能になってきます。婚約の場合は単なる交際とは異なり、法律上保護する状態まで来ているからと考えられているからです。
ただ、婚約が成立しているかどうかという判断は非常に微妙な場合が多いことも事実です。
もちろん、両家の顔合わせが終わり、結婚式の日取りも決め、式場の予約も済んでいるというような状態であれば、婚約が成立しているという評価になることはほぼ間違いありません。しかしながら、争いになるのはそこまで至っていないケースが圧倒的に多いのです。具体的には、「結婚しよう」と言われていた状態、親に会ったことはあるが単に交際相手として会ったのみであり結婚の話はしていない状態、同棲していた状態などです。
まず、最初の単に「結婚しようと言われていた状態」は、法律上婚約と評価されることは難しいです。また、単に同棲していたというだけでも婚約と判断されるのは難しいでしょう。「親に会ったことがある」というケースは微妙ですが、1回しか会っていないような場合は婚約と判断されることは難しいでしょう。
ということで、婚約を認めてもらうには意外とハードルが高いのです。
■二股男が泣きついてくるケースも
とはいうものの、法律的には婚約が成立しているかどうか微妙なケースであっても、二股男が事を荒立てたくない、裁判沙汰にしたくないという理由で、弁護士が入った段階で示談させてくれと泣きついてくるケースも多々あります。こうなれば婚約成立云々を論ずる必要なく、示談で慰謝料請求することが可能になるわけです。
ですので、二股が発覚した時点で、自分は婚約が成立していないから請求は無理だとあきらめるのではなく、男女問題に詳しい弁護士にまず相談、これが一番だと思います。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)