もうそろそろ2014年のゴールデンウィークがやってきます。平日の有給休暇を取得できればなんと最長で11日間の連休を実現することもできそうです。
その有給休暇について、理由を「私用のため」として会社に申請したところ「もっと詳しく書け」と命じられた、との相談がネットのQ&Aサイトに上がっています。
「法律上、休暇の理由は聞いちゃいけない」という回答も上がっていますが本当のところはどうなのでしょうか? 有給取得理由を聞いてはいけないのか、弁護士の私が解説してみたいと思います。
「年次有給休暇」は、労働基準法第39条第1項、第2項で保障された労働者の権利であり、そこに「労働者による休暇の請求」や「使用者による承認」の観念を入れる余地はないとされています(国鉄郡山工場事件・林野庁白石営業林署事件)。
即ち、労働者は有給休暇の取得に際し「理由を示して請求し、使用者の承認・許可を得る」必要は法的にありません。
■「もっと詳しく書け」は違法
また、使用者側には「許可・承認」権限はなく「当然に有給休暇取得させる義務」があるだけですから、「(理由を)もっと詳しく書け」という指示・命令は法的に「違法」となります。
但し、労働者側の「有給休暇時季指定」に対しては、使用者側で「適法な時季変更権の行使」があった場合に、「有給休暇の取得と勤務のいずれを優先させるべきか?」の判断に際し、「有給休暇取得理由と進行・継続が求められる労働作業の必要性の利益衡量の判断材料」として「取得理由」が問題となる場合はあり得ると思料されます。
例えば、労働者であるあなたがゴールデンウィークに休暇をとりたいとして、使用者側は休日中の顧客対応に人員が必要であるためあなたに休んでもらいたくない、という会社側の事情があったとします。
こういったケースにおいては例外として、あなたが休暇をとりたい「理由」を使用者や上司などに明らかにすることが求められるかもしれず、仕事内容の「必要性」と照らし合わせて、時期が調整されるかもしれません。
以上のように、「私用のため」は法的に全く問題ありません。それどころか理由を示す必要すらないわけですね。労働者の当然の権利として休暇は正しく取得し、プライベートも仕事も充実するようにしたいものです。