「今でしょ!」で有名な林修さんは、大学卒業後2,000万円もの借金を抱えてしまっていたそうです。
ギャンブルや起業の失敗が原因だそうですが、自信のあった「勉強を教えること」をもとに予備校教師となって返済し、今では誰もがそのユニークなキャラクターを知る存在となるまで大成しました。
重い借金について、チャラにするための手段として「自己破産」が勧められることがありますが、これには当然デメリットもあります。返済地獄よりももっと悲惨な事態が待っているとしたら恐ろしいですよね。
今回は自己破産のデメリットについて2点、解説してみたいと思います。
■1:自己破産をして犯罪者に!?
次のような場合、自己破産すると犯罪に該当します。
・自分の財産を隠したり、わざと壊したりした場合
・自分の財産を親しい人に安く譲ったりした場合
・会計帳簿を隠したり、書き換えたり、処分したりした場合
・破産管財人に対して説明や検査を拒んだ場合
等々です(破産法265条以下)。
こうしたことをした破産者は、罰金を払わされたり、懲役刑を受けて刑務所に収監されたりする場合もあります。こうなってしまうと、まさに返済地獄どころの話ではないのではないかと思います。
破産で持って行かれたくないからと財産を隠していたような場合、依頼を受けた弁護士も依頼者に裏切られたという気持ちになります。
重い借金がチャラになるのも、自己破産して「最低限の責任」をとった人に今後の人生をやり直す道筋を与えるためです。自己破産する場合、潔く財産も情報も全て提供するようにしてください。
■2:自己破産のせいで無職に!?
破産した場合、今している仕事ができなくなる可能性があるということです。次のような仕事は、破産手続が全て終わる(免責許可決定の確定)まで、できなくなってしまいます。
・警備員
・生命保険募集人
・損害保険代理店
・宅地建物取引業者
・建設業者
等々です。
今までしていた仕事で食べていけなくなるわけです。これも、1点目ほどではないですが、人によっては返済地獄よりも恐ろしい事態と言えるのではないでしょうか。
以上2点、事前に弁護士から説明を受けるためになかなか発生しにくい事態ではありますが、恐ろしいデメリットを2つ紹介しました。
■まだ他にもあるけれど
他にも、財産をほとんど手放すことになる、手続中旅行・出張が自由にできない、郵便物をチェックされる、官報や地元の新聞に掲載されるといったデメリットがありますが、返済地獄よりも恐ろしいとまでは言えないでしょう。
最低限の責任はとるという誠実な気持ちで自己破産の申立てを弁護士に依頼するのであれば、自己破産のデメリットよりも返済地獄から解放されるメリットの方が大きいはずです。
世の中には、返済地獄に陥ったために正常な判断ができなくなって、犯罪に手を染めたり自殺したりする人もいるのですが残念で悲しいことです。
たかが借金です。犯罪に手を染めたり、死んだりすることはありません。返済地獄に陥ってしまった場合、自分一人で悩まずに、家族や弁護士、市役所の福祉窓口にまずは相談してみることが望ましいでしょう。