企業が社員に通達するコロナ感染予防対策 自由を制限する内容に問題は?

中国・武漢市で発生し、その後世界へと広がった新型コロナウイルス。日本はもちろん、アメリカやヨーロッパなど、全人類に重大な健康被害を与えました。

 

独自の予防対策を出す企業も

日本での新規感染者数が1日100人を超えることが多くなった4月7日、政府は緊急事態宣言を発令。不要不急な外出、都道府県を跨ぐ移動、そして商業施設や飲食店などへの営業自粛を要請することになりました。

また、企業にも「在宅勤務化」を要請し、多くの企業がテレワークを導入。さらに独自の感染予防対策を社員に課す企業もあったようです。

 

自由を制限する内容も…

その内容は様々で「出張の禁止」「長距離NG」というものや、「同居人家族以外と接見禁止」「外出は食料品の以外控える」という、社員の自由を制限する内容も。

さらに緊急事態宣言が解除された現代も「帰社後はまっすぐ家に帰るように」と指導されている人も多いと聞きます。いずれも社員を新型コロナウイルスに感染させないための措置ですが、不満に思う人もいることでしょう。

このような通達に問題はないのでしょうか。また、通達を破ってしまった場合の処分も気になります。 銀座さいとう法律経済事務所齋藤健博弁護士に聞いてみました。

 

通達を破ってコロナに感染したら?

齋藤弁護士:

「これ一事をもって懲戒処分とすることは難しいでしょう。そもそも、雇用関係にある企業から発せられた指示は、具体的な義務を伴う命令とは異なります。もちろん、従わずにコロナに感染し、社内でパンデミック状態を作ってしまったなどの事情があれば別かもしれませんが、指示自体の効力は、法的な共生を伴うものとは言えないのです」

 

コロナには感染していないが、通達を破っていたら?

齋藤弁護士:

「通達をやぶったやぶらないは、法的義務ではないので、そこまでは大きく問題になりません。そもそも究極の目的からすると、社員の生命や安全を保護するためのものです。そうすると、感染していないのであれば、大きな問題を発生させていているとも言えません」

 

社員の自由を奪う通達に問題はない?

齋藤弁護士:

「自由を奪う側面は否定できませんが、緊急事態宣言下において、社員を監督することも法人の一役割として位置づけられるともいえましょう。その中で、コロナ禍にかこつけて、会社の思うように行動を制限するのであれば、当然社員の自由を奪うある意味でハラスメントです。規制自体が、本当に必要なものかどうかを判断することは重要ではないかと感じています」

 

適正か否か慎重に判断を

会社からの通達は社員をコロナ感染から守るためもので、正当なものと思われます。しかし、「コロナを利用して」または特段な理由もなく、会社の思う通りに人を動かすような目的で自由を奪う通達は「ハラスメント」になります。

経営者と労働者が通達が必要か、そして適正なのかを話し合っていく必要がありそうですね。

 

*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律経済事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

東京都 中央区銀座2-4-1 銀楽ビルディング503E

コメント

コメント