遠距離の転勤なのに引越し費用は自分持ち!会社の対応に問題は?

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2月から3月は、人事異動の季節。複数地域に支店を持つ企業の場合、引っ越しを必要とするような異動が発生することもありますよね。ある企業に勤務するAさんもその1人。今回青森県から東京に異動するよう命じられました。

ところがAさんの会社は引っ越しに関わる費用は全て「自分持ち」だそう。これまでも何度か転勤の経験があり、改善を要望してきましたが、無下にされているとのこと。このような措置に問題はないのか? また、後から請求することはできないのか? 詳細を琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士に伺いました。

 

転勤費用を負担しない会社に問題は?

川浪弁護士:「転勤時の費用負担について定めた法律はありません。したがって、特定の法律を根拠として、会社に転勤費用を請求することは難しいと思われます。

しかし、会社によっては、個別の労働契約や就業規則等で転勤費用について会社が負担すると定めている場合があります(むしろ、そのようの定めを設けている会社の方が多いと思います)。そのような定めがなされている場合、それを根拠として、会社に転勤費用を請求することは可能です。

上記のとおり、転勤時の費用負担について定めた法律はありませんので、会社が費用を負担しないとしても違法ではありません。ただし、労働契約や就業規則等で転勤費用の全部又は一部を会社が負担する旨定められている場合には、会社が費用負担しないと契約違反、就業規則違反となります」

 

後から請求することはできる?

川浪弁護士:「就業規則等に会社が費用負担する旨の定めがある場合には、当該定めを根拠として、会社に対し、後から費用を請求することは可能ですが、就業規則等に定めがない場合には、会社に請求できません。

このように、転勤時の費用については、当然に会社に請求できるものではありません。ただし、会社が一切の転勤費用を負担しないことは、転勤命令の効力を判断するにあたって斟酌される事情といえます。

すなわち、転勤によって労働者に著しい不利益が生じる場合、転勤命令は無効と判断されることがあり得るのですが、当該不利益の程度を判断する事情の一つとして転勤費用の負担の有無が考慮されると考えられます(例えば、日本から海外に転勤を命じる場合に会社が費用負担しないと、労働者に相当な経済的負担が生じます)。

このような事情に加えて、会社が費用負担しないことで労働者のやる気や積極性を低下させる可能性も考えられるところです。したがって、一定の範囲で会社が転勤費用を負担する、転勤先に応じて赴任手当等の一定の手当を支給する等の定めを設けておくことが一般的に望ましいと思います」

 

就業規則の確認を

転勤時の費用は法律で明確な規定がなく、各企業の就業規則に委ねられるようです。大企業の場合、なんらかの定めがあることがほとんどです。まずは確認してみましょう。

 

*取材協力弁護士: 川浪芳聖(琥珀法律事務所。些細なことでも気兼ねなく相談できる法律事務所、相談しやすい弁護士を目指しています。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

川浪 芳聖 かわなみよしのり

琥珀法律事務所

東京都渋谷区恵比寿1-22-20 恵比寿幸和ビル8階

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