賃貸物件を探す場合、不動産会社の社員とともに内見を行い、問題がなければ契約となることが一般的です。不動産会社社員の仲介なくして部屋を借りることは、難しいといえます。
そんな不動産会社の社員ですが、一部にはかなり悪質な人物もいるようです。
強引に契約を迫るケースも
とくに多いのが内見の際、迷う客に対して強硬に契約を迫るケース。内見者が「ゆっくり考えたい」意思を示すと、「競争が激しい物件ですよ」「早く決めたほうが絶対にいいですよ」などと働きかけるなどして、契約を促すことがあります。
また、「今すぐハンコを押してほしい」「契約書にここでサインしてほしい」などと即決を促して来ることがあるそう。さらに酷いケースになると、契約をするまで連れ回すことも。なかには、営業の言われるがまま、自分の意志に反して契約を結んでしまった人もいるようです。
そのような場合当然後から契約の無効を訴えたいもの。取り消しは可能なのか、そしてどのようにすれば良いのか? 銀座さいとう法律経済事務所の齋藤健博弁護士に聞いてみました。
取り消しを主張できるか?
齋藤弁護士:「強迫取消の余地があるでしょう(現行民法96条・121条)。また、本ケースの場合には消費者宅に居座るケースとは多少異なりますが、困惑による取り消しといって、「不退去」による取り消し、すなわち勧誘場所が消費者の住宅・勤務先に居座るケースと共通点があります。
とりわけ「退去妨害」といって、契約の勧誘が事業者の店舗や事務所・喫茶店などでも消費者の自宅や職場ではない場所において「帰る」といっても帰らせようとしない場合には、消費者契約法に基づいても救済されるでしょう。本件でも、強引に契約させられる時点で困惑に基づいて契約が成立し、退去妨害があるとみられますから、十分取り消しの余地があるのです」
帰る意思を示す
齋藤弁護士:「まず、「帰る」という意思を伝えることです。カドのたつ行為は控えようなどと遠慮をしていると、その時期を失ってしまいます。契約の現場では、あいまいな態度を取らないことが肝です。
裁判例で成功しているものでは、やはり拒絶の意思表示を明確にしているものが目立っています。「退去妨害」が成立していることを拒絶の理由とするなどの自衛手段をとってください。
契約するまで返さないという行為は、「退去妨害」が成立しているでしょう。消費者契約法4条3項1号に違反するものである以上、毅然と対応し、契約の取り消しを主張すべきです」
「NO」と言える勇気を持つ
営業の勢いに押されて「NO」が言えなくなってしまうケースも多いと聞きますが、部屋に住むのは自分。納得がいかない場合は、はっきりと拒否しましょう。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律経済事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)