ニュースや新聞を見ていると必ずといっていいほど登場する「容疑者が逮捕されました」の報道。
なぜテレビ局や新聞社が容疑者逮捕の情報をしっているのか、気になったことはありませんか?
もしかして、警察署のまわりには常に記者やレポーターが張り込んでいるとか…?
こんな疑問を「元刑事ライター」の鷹橋さんに聞いてみました!
この記事の監修者
振り込め詐欺や銀行員の巨額横領事件などの捜査を担当してきた元知能犯刑事。 |
「逮捕されました」情報は警察が流している
「容疑者が逮捕されました」という情報を流しているのは警察です。
当然といえば当然なんですが、なぜわざわざ警察が「容疑者を逮捕した」と公表する必要があるのでしょうか?
報道との「お約束」があるから
警察と報道との間には、ある「お約束」があります。
それは、事件の容疑者を逮捕した場合は必ず報道に発表するということ。
事件の大小に関係なく、逮捕すれば必ず報道発表します。
逮捕された容疑者の名前、年齢などをかんたんにまとめて、報道各社にFAXで送信して発表しているのです。
なお、覚せい剤事件などでは共犯者やグループが逃げてしまうので、秘密にすることが許されています。
毎年1万3000人以上が薬物事件で逮捕されているのに、芸能人や有名人ばかりが報道されて一般人が報道されないのは「お約束」のせいなのです。
「行方不明になった」とさわぎにならないため
逮捕された容疑者は、一切の連絡ができなくなります。
警察に逮捕されてしまうと、その日から長くて23日の間は社会からこつ然と姿を消してしまうわけです。
会社の同僚や友人・知人、周囲の人たちにしてみれば「行方不明になった!」と騒ぎになるでしょうね。
逮捕された人やその家族にとっては迷惑な話ですが、逮捕の報道は「警察で身柄を預かっているので行方不明ではありません」と公告する目的もあるわけです。
記者がすっぱ抜くことも…
ニュースなどでは、容疑者が逮捕される瞬間や「ただいま、捜査員が容疑者の自宅に入りました」なんてリアルな状況が報道されることがあります。
「容疑者を逮捕しました」情報の公表よりも先回りしているのはおかしいですよね。
これは記者の「すっぱ抜き」によるものです。
大きな警察署には記者クラブという報道用の部屋があって、報道記者が自由に出入りできます。
彼らは“特ダネ”をキャッチするために聞き耳をたてていて、「トイレの個室に潜んで警察官の雑談を盗み聞きしていた」なんてこともしばしば…
報道されるかどうかは各社の判断
逮捕されると報道各社には必ず情報が公表されます。
でも、だからといって必ずニュースや新聞で報道されるわけではありません。
「視聴者や読者の興味をひかない」と思えば報道しないことがあるし、ほかに報道するネタがなければ小さな事件でも報道することがあります。
つまり、報道されるかどうかは「報道各社の判断しだい」なのです。