11月30日、北海道月形町のJR札沼線豊ヶ岡駅で、撮影目的で線路内に立ち入った男が駅員の注意に応じず居座り、出発が98分遅れるという事案がありました。
男は通報を受けた警察が駆けつけると、姿を消したようで、逮捕されたという情報は入っていません。豊ヶ岡駅は鉄道ファンには有名な場所で、全国から「撮り鉄」が訪れる場所だそう。
ファンからは「ふざけるな」「写真禁止になったらどうするんだ」「なぜ逮捕されないんだ」などと、怒りの声が上がりました。
線路内への立ち入りは具体的にどんな罪に?
JR豊ヶ岡線のように98分遅れるケースは稀ですが、都市部でも電車内人立ち入りによって電車の運行に支障をきたすことは多々あります。このような行為は犯罪であると思われますが、実際にどんな罪になるのかわからない人のほうが多いのではないでしょうか。
銀座さいとう法律経済事務所の齋藤健博弁護士に聞いてみました。
弁護士に聞いてみると…
齋藤弁護士:「鉄道営業法の37条は、「鉄道地内にみだりに立ち入る行為」について罪になると定めていますが、罰金刑にとどまります。新幹線には特例法があり、新幹線の敷地内であれば、1年以下の懲役または5万円以下の罰金が定められています(新幹線特例法3条2項)。
新幹線のほうが速達性が求められ、専用軌道(ミニ新幹線をのぞく)を走行するのが通常ですので、往来に対して与えた危険性が大きく、また、遅延等の法益が害される危険が高いからだと思われます。刑法上は、往来危険罪に問われる可能性があるにとどまります。
しかし、その125条は、標識を破壊したと規定したのちの、「又はその他の方法により」汽車又は電車の往来の危険を生じさせる行為並びに船舶の運航に関わる設備を破壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせる行為の犯罪成立をさだめているにとどまり、「その他の方法」には、置石が典型です。
置石に比較すると、線路に立ち入り鉄道写真を撮影する行為自体は、往来危険を生じさせ、厳に警笛を鳴らすも立ち退かず往来に危険を生じさせたとしても、125条を適用する基礎を欠いているように感じられます。線路沿いの土地を採掘する行為につき本剤を成立させた判例がありますが、採掘行為とはかけはなれているのが難点です」
線路内立ち入りは犯罪
線路内に立ち入る行為は鉄道営業法違反や、往来危険罪に問われる可能性があります。絶対に行わないようにしましょう。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律経済事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)