痰唾の吐き捨て 罪になることはある?

道を歩いていると、唾を吐く人を見かけます。なかには喉に絡まった痰とともに「ペッ」と吐く人もいるようです。そのような光景は当然見ていて気持ちの良いものではありません。「ああいう人を法で処罰してほしい」と考える人もいるはず。

最近は歩きタバコなどを条例で禁止する自治体はあるようですが、同じような迷惑行為の痰唾吐き捨ては、罪にならないのでしょうか?

エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解を伺いました。

痰唾の吐き捨ては罪になる?

大達弁護士:「まず、道路で唾を吐くことについては、軽犯罪法違反という犯罪に問われる可能性があります。軽犯罪法1条26号は『街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」について、拘留または科料に処すと規定しています。

そして、道路で唾を吐くことは、『街路…で、たんつばを吐』いた、あるいは『公衆の集合する場所で、たんつばを吐』いたといえるため、軽犯罪法違反という犯罪になります。一方、道路以外の場所で唾吐きをした場合には、その場所がどのような場所なのかを考える必要があります。

具体的には、その場所が「その他公衆の集合する場所」といえるのかが問題となります。例えば、駅のような公共性の強い場所であれば、JRや私鉄各社の私有地であったとしても「公衆の集合する場所」に該当し、軽犯罪法違反になると考えられます。

一方で、公共の場所であっても、人がほとんど通らないような場所であれば、「街路又は公園その他公衆の集合する場所」には該当せず、犯罪とはならないと考えられます」

 

1万円に満たない罰金に

「ちなみに、拘留というのは、1日以上30日未満で刑事施設に拘置する刑のことで、科料は1000円以上1万円未満の金銭を徴収する刑のことです。たんつばを吐いたとする軽犯罪法違反で起訴された例は具体的に把握しておりませんが、一般的に軽犯罪法違反で起訴される際には、科料9000円あるいは科料9900円などと、ぎりぎり1万円に満たない額とされることが大半であるように思います。

 

犯罪になろうとならなかろうと、唾を吐くことは周りの人からしたら不快なこと。唾も愚痴も、その辺に吐かないように注意しましょう」

 

まとめ

軽犯罪法違反になる可能性もある「痰唾の吐き捨て」。街を汚すだけでなく、人を不快にすることは、間違いありません。明確な理由がない限りは、行わないようにしましょう。

*取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

大達 一賢 おおたつ かずたか

エジソン法律事務所

東京都千代田区神田錦町1-8-11 錦町ビルディング8階

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