2019年8月、常磐自動車道で前方車に煽り運転をした後、車を降り暴力事件を振るった男(43)。このほかにも常習的に煽り運転をしていた模様で、世間の怒りが爆発しました。
自動車運転免許を持っていれば誰もが遭遇する可能性のある事件だけに、男の身勝手な行動と主張を受け入れることはできないと感じた人が多かったようです。
犯人隠避罪で同乗女性も逮捕
この事件では煽り運転を行っていた男の車に乗っていた51歳の女も、指名手配中だった容疑者を匿ったとして犯人蔵匿・隠避の疑いで逮捕されました。
事件発生直後、被害者のドライブレコーダーにガラパゴス携帯で自動車を撮影する女と、煽り運転と暴力を行った男の画像がネット上に流れ、「この人物が犯人です」などと拡散されることになります。
ところが当初流れていた女性の画像は全くの別人。勝手に顔写真を拡散され犯人扱いされた女性は、8月に記者会見を開き、デマを流した人物と拡散した人間を名誉毀損で訴える意思を示しました。やってもいないことで勝手に犯人扱いされ、拡散されたことを考えれば、女性の怒りは当然でしょう。
市議が提訴される
そんなデマ拡散事件に関連し、女性から名誉毀損で提訴されたのが愛知県豊田市の市議(57)。無関係だった女性の画像入りで「犯人だ」と決めつけた情報を自身のFacebookに掲載し「早く逮捕されるよう拡散お願いします」と書き込んだ。
この書き込みは全くのデマであり、犯人扱いされた女性が名誉毀損で提訴。市議は謝罪し、辞職することになりました。様々な意見がありますが、「女性はかなりの風評被害を受けている。デマを流した以上責任を取るのは当然だ」という声が多いようです。
やりすぎとの声もあるが…
追及の声が多い一方で、市議の行動は褒められたものではないものの、「辞職させるのはやりすぎではないか」という同情の声もあります。間違った情報を拡散した件で、辞職までする必要はあったのでしょうか?法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。
清水弁護士:「他者が最初に投稿した内容であっても、自身の投稿として改めて投稿していると評価できる以上、 自身の投稿として責任を負うことになります。 辞職する必要があるかどうかは本人とその地域の有権者がどのように捉えるかという問題に過ぎません」
間違った情報を自身の投稿として書いてしまった以上、責任は免れないのですね…。市議の行動は、名誉毀損罪になりうるのでしょうか?
清水弁護士:「十分、名誉感情罪になり得るでしょう」
第一投稿者を特定する方法は?
この件については「最初に投稿した人間」の責任が問われています。現状誰なのかはわかっていませんが、特定することは可能なのでしょうか?
清水弁護士「開示請求をしていけば特定できる可能性は十分あると思われます
間違った犯罪者の情報を自分の意見として投稿拡散することは、名誉毀損罪になる可能性が高まります。情報を拡散するときは、必ずその内容が正しいか確認しましょう。
*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)