先日20代女性Sさんから以下のような相談が寄せられました。
Sさん:「事務職として零細企業に入社したのですが、男性上司から『男子トイレを掃除してほしい』と頼まれました。
業務命令とは思えず、断ったうえで『それはセクハラだと思います』と意見したところ、露骨に嫌な顔をされ、その後あまり口を利いてくれなくなりました。
女性に男子トイレを掃除させるってその先に下心的なものを感じるし、やっぱりセクハラだと思うんです。
弁護士さんの見解をぜひ聞かせていただきたいと思います」
事務員として入社したにもかかわらず、「男子トイレの掃除」という仕事を与えられることは本筋を外れたうえ、セクハラや性被害にも繋がりかねません。
このような行為はセクハラ・パワハラなど、問題になるのではないでしょうか?
銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士にお聞きました。
Sさんが受けた行為はセクハラ?
齋藤弁護士:「実際の経緯によりますが、たとえば、企業に出入りしている清掃業者の方からのご相談でしたら、これらがセクハラやパワハラとして主張が認められることは考えにくいでしょう。
しかし、たとえば清掃担当ではない女性事務員さんが、実際に男性も使っている時間帯に男子トイレの清掃を要求する行為は、目的によっては不法行為が成立する可能性があるのではないかと考えられます。
また、これらを強要する行為は、上司や上席の方からの強要であれば、パワハラが成立する可能性も十分考えられるのではないでしょうか」
Sさんの受けた行為はやはりパワハラやセクハラに該当する可能性が高いようです。
この会社がなぜ男子トイレの掃除を若い女性にやらせようとしたのかは不明ですが、断るという行為に問題はありません。
仮に同じような思いをされている方がいれば、勇気を持って断りましょう。
むしろ、弱みにつけ込む命令であり、卑怯と言われても致し方ない行為です。
声を上げるようにしよう
そもそも常識的に考えて、清掃スタッフとして雇ったわけではない事務員の女性にトイレ掃除をやらせることも、好ましくないといえます。
日本では「下働き」をこなすことがいわゆる「下積み」とされています。
苦労をすることが精神力を鍛えることに繋がるという考え方もあり、それもまた理解できるものではありますが、女性に男性トイレに入らせるなど、セクシャルな部分を無視した命令は不適切と言わざるを得ません。
このような男性による立場を利用したセクハラは横行しているのが現状です。
我慢するのではなく、勇気を出して声を上げていきましょう。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)