先日あるTwitterユーザーが、採用面接でSNSの使用有無を聞かれ、「Twitterをやっている」と回答したところ、「SNSをする人は悪口や良からぬ情報を広める可能性がある。うちは社則で禁止」といわれ不採用になったとツイートし、物議を醸しました。
SNSを利用するだけで不採用は適切?
現在なんらかのSNSやWebサービスを利用していない人はかなり少ない状況だけに「時代錯誤」「信じられない」「そんな理由で求職者を落とすような会社に行かなくて良かったのでは」など、企業側への批判は多い状況。
しかしこの会社は過去にTwitterでトラブルに発展した過去があったそうで、「時代錯誤感はあるけど正当な措置」「致し方ないのでは」という声もありました。「時代遅れ」のような気はしてしまいますが、会社としては未然にトラブルを防ぐ措置とも思えます。
弁護士の目から見て、SNSを利用しているというだけで採用試験を落とすことは適切なのでしょうか?
銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士にうかがいました!
弁護士の見解は?
齋藤弁護士:「採用に対しては、企業・法人側の広い裁量が及んでいるのは事実です。しかし、このご時世、SNSをやっていること一事をもって不採用とする判断には、あまり合理性を感じません。
他の判断要素をみて、SNSで不適切な書き込みをしている、SNSで採用側企業のレピュテーションにかかわるようなことを書いている、など、企業側が不採用にするのも問題ないと考えられる事情があるのかが問題です」
「法的に問題がある」とまでは言い切れませんが、弁護士の目から見ても「合理性を欠く可能性がある」と判断されるものであるようです。
SNSの制限を
この会社は社則で従業員のSNSを制限しているようです。
トラブルを未然に防ぐとのことですが、SNSを利用する権利もあるはず。少々やりすぎのようにも思えます。
齋藤弁護士:「企業に勤務していても、表現の自由、といって、SNSを利用した発信は強力に保護されるべきであるという考え方は、法律的に保護に値しえます。
しかし、一部SNSの制限、たとえば出会い系などを制限するのは、一つの判断としてありえるでしょう」
納得したうえでSNSの運用を決めることが望ましい
SNSに不適切な動画を投稿し炎上するケースや、Twitterのツイートが発端でトラブルに発展することもあるため、企業側が利用の制限や監視することも多いと聞きます。
社員としては面白くない事態ではありますが、企業としても不要な炎上を避けたいという意図もあります。
強制するのではなく、お互いが話し合い納得したうえでSNSの運用を決定することが望ましいと言えますね。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)