先日京都府の和食店店主が、グランドオープンの3日前に50代男性から「7000円のコースで10人の予約」が入ったにもかかわらず、当日になっても連絡がなく、「騙された」とTwitterでツイートしたことが話題になりました。
料理を用意していたが…
店主の男性によると、電話は非通知だったそうで、「7000円のコースを10人予約できる?」と電話があったそう。グランドオープン当日ということもあり、店主は弾んだ気持ちで魚を捌いていたそうです。
ところがオープン日当日になっても男は来店せず。聞いていた電話番号に電話をかけてみると、「現在使われておりません」とアナウンスが流れ、初めてここで自分が騙されたことに気がつきます。
どうやらグランドオープンの日を狙った嫌がらせのようで、その心境を店主はツイート。すると励ましなどが寄せられ、「無駄にしてはならない」と来店する人もいたそうです。
ドタキャン被害は相次ぐ
このような「ドタキャン被害」は昨今数多く報告が寄せられています。
飲食店を複数店舗経営する元関脇の貴闘力さんも、『ワイドナショー』(フジテレビ系)で被害を報告。
それによると、直近で3件の「ドタキャン」があり、人数分料理を用意するため仕入れ、調理を完璧に済ませておくと、全く来店する素振りがなかったといいます。
そして予約時に確認した電話番号に折り返してみると、「忘れたんだよ」などと怒鳴られ、切られてしまいます。貴闘力さんは「用意した料理が台無しになった」とのことで、ショックからその日の営業を中止することにしたそうです。
当然その日の営業をしないということは、収入もなくなることになります。店としては大打撃であり、当然損害賠償などを請求したくなります。このような人間を罰することはできないのでしょうか?
罰することはできる?
まず、「犯罪」とするためには、「故意」であることが立証されなければなりません。
京都のケースのように「嫌がらせ目的」ということがはっきりしている場合は、威力業務妨害罪になる可能性があります。
また、飲食店が被った被害額についても、事前に「直前のキャンセルについてはいくらいただきます」などの但し書きがあれば、損害賠償を請求できる可能性が高いでしょう。
証拠が残る形での予約を
店側としてキャンセル防止についてどのような対応をするべきなのか。団体客の予約は嬉しいことですが、「ドタキャン」のリスクもあるということを認識しなければならないでしょう。
後に裁判に発展した場合、予約者が確実に予約をしたこと、来店する意思を示したことがはっきりと分かる「証拠」が重要になります。
予約に関してはメールなどの「形に残る」やり方で受け付けることが望ましいと言えます。
また事前にキャンセル料の規定がない場合、「知らなかった」とうそぶかれることも考えられますので、何らかの規定を設けることも重要です。
悲しいことではありますが、嫌がらせや冷やかしで予約をしてくる人間がいる以上、店舗経営者はしっかり対策を講じるようにしておきましょう。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)