最近パソコンでインターネットを閲覧中に「おめでとうございます。○○の当選者に選ばれました。OKをクリックして景品をお受け取りください」などと表示され、クレジットカード情報などを入力するよう促される事案が発生。
多くのネットユーザーはすぐに詐欺と感知し、画面を閉じていることだろうと思いますが、なかには「やった!」とばかりに誘導に引っかかり、金銭を取られてしまう人もいるようです。このようなネットを使った詐欺は社会問題化しており、高齢者を中心に被害が拡大していると聞きます。
ネット詐欺は罪が重くなる?
ブラウザを使い、金銭の振り込みやカード情報を抜き取る行為は詐欺罪になると思われますが、実際のところどのような罪になるのか、気になります。例えば結婚詐欺師よりも重くなるとか、振り込め詐欺より軽くなるとか、詐欺の手法によって罪の重さは変わるものなのでしょうか?
銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士に解説していただきました!
弁護士の見解は?
齋藤弁護士:「“おめでとうございます”の表示を勘違いしてしまい、お金を振り込むと、利益が発生すると思い込んでしまうことになります。これを専門用語では、欺く行為、欺く行為による錯誤、錯誤に基づく処分行為、といいます。
これは、詐欺罪が成立し得る状態に至ったことを意味します。なお、さらに、これによって財産的損害が発生している必要もありますが、現実にお金の振り込みによりその金額は失われてしまっており、損害には争いが生じないでしょう。
オレオレ詐欺などのように、受け子、出し子、などが絡み合っているような複雑な事案ではありませんし、結婚詐欺とは異なり、現実の人間が関与したうえでの犯行とは多少異なっていますが、量刑としては、被害金額などの事情によって変化するものです。
これが何億などの被害を計上するようでは、オレオレ詐欺や結婚詐欺などより、重い量刑となりましょう」
上手い話はよく確認を
誰もがネットを使うようになった現在、ネット詐欺に引っかかってしまう人も多いようです。大手通販サイトなど有名企業名を出されるとつい信じてしまう人もいるようですが、そもそも、サイトを見ているだけでクジに当たるというような上手い話があるはずがありません。
世知辛い感じもしますが、「上手い話」が舞い込んできたときには簡単に信じず、現象をネットで検索するなどして調べるようにしましょう。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)