離婚後相手が自分の姓を使っている…やめさせることはできる?

先日ある掲示板に、離婚が決まったと思われる男性から「嫁が別れたあとも自分の姓を名乗ろうとしている。不愉快なので止めさせたい」という書き込みがありました。

これに対する回答は、「難しいのではないか」「それは無理だと思う」というものばかりで、男性としては到底納得できない回答となりました。しかし、本当にそうなのかは微妙なところです。

離婚問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。

 

Q.離婚後、相手が自分の姓を名乗ろうとしている。止めさせることはできますか?

 

A.できません

理崎弁護士:「婚姻中に夫の姓を名乗っていた妻は、離婚後、何もしなくても結婚前の元の姓に戻ります。これを『復氏』と言います。

もっとも、離婚によって復氏した元妻は、離婚した日から3か月以内に役所に届け出ることで元夫の姓をそのまま名乗ることができます。これを『婚氏続称』(こんしぞくしょう)と言います。子どもの就学上の都合や周りの人に離婚した事実を知られたくない場合に婚氏続称がされることが多いと思います。

婚氏続称した元妻に対して、元夫は「自分の姓を名乗られるのは不愉快だ!」とそれを止めることは可能なのでしょうか?

結論から言うと、 婚氏続称制度は、離婚によって復氏した夫または妻に認められた権利であって、他方配偶者としては一切制限することはできません。

よって、どのような理由があっても、元夫としては、元妻が結婚前の自分の姓を名乗ることを止めさせることはできないということになります。」

 

「不愉快」という気持ちも理解できないものではありませんが、一度結婚し名乗った姓である以上、離婚したとしても「名乗る権利」があるということのようです。

離婚を考えている夫婦の皆さん、是非覚えておいてください。

*取材対応弁護士: 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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