ペットの親権争いを法的に解決

離婚時に子供の親権で揉めるというのはよく聞く話ですが、ペットを我が子のようにかわいがる人々が増える中、起こり得るのがペットの親権争い。

夫婦など同居していた人たちが一緒に飼っていたペットを同居解消の際に取り合いになってしまった場合、法的にはどう解決するのでしょう? 琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士にお聞きしました。

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まずはどういう関係か? 誰が買ったのか?

まず、そのペットが共同ではなく同居人の一方が自己の財産で購入したものであったり、同居前から飼っているものであったりした場合、法律上はどう考えますか?

川浪弁護士「購入者から贈与・譲渡がなされていない限り、同居人が権利を主張することはできません。その場合、あくまで、ペットの所有権は自己の財産で購入した人にあります。」

家族同然のペットであっても、法律上ではペットは「物」として扱われます。「親権」といいたくなりますが、法的にはこれは「所有権」の争いとなるのです。そして、ペットの持ち主が購入(入手)したときからはっきりしていれば、所有権もはっきりしています。難しいのは、共に購入した場合でしょう。

川浪弁護士「夫婦が共に購入したペットは共有財産になるので、財産分与の問題として扱われます(民法768条。内縁の場合は同条類推)。ペットは民法上「物」として扱われていますので(民法85条)、いわゆる財産の一種になるのです。

内縁(事実婚。婚姻の意思があるものの、婚姻届を提出していない関係)の場合も同様です。夫婦でも内縁でもなく、単なる同棲や友人同士の同居の場合は、財産分与の問題とはならず、いわゆる共有物分割の問題になります(民法256条)。」

ペットの所有権については、まずはそのペットを誰が入手したのか、そして同居人たちが夫婦(内縁含む)かそうでないかで、取り扱いが変わるのです。

 

具体的にはどう判断される?

当人同士の話し合いで解決できない場合は、裁判などの法的手続きに至ることが考えられます。

川浪弁護士「上述したとおり、同居の形態に応じて請求する法的手段が異なります。夫婦及び内縁関係の場合は財産分与請求となります。

民法768条3項
家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

この法律に基づいて、従前に世話をしていた実績やペットの飼育環境などが考慮されます。」

では、同棲や友人同士の同居の場合はどうでしょうか?

川浪弁護士「その際は共有物分割請求となりますが、ペットは生き物なので、現物分割はできません。

このような場合、民法上は、裁判所が競売を命じることができると規定していますが(民法258条)、ペットの競売は考えがたいものです。従前の飼育状況や別居後の飼育環境などさまざまな条件が考慮されて、いずれかの単独所有と判断されるものと思われます。」

 

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所有権を主張するには

法的手続きに至った場合、所有権取得に有利な材料となるものがあれば教えてください。

川浪弁護士「あらゆる事情から考慮されますが、従前の飼育状況、別居後の飼育環境、ペットがどちらになついているのかといったことに加えて、ペットへの愛着、資力もそれなりに大切でしょう。

ペットの場合は子供と違って養育費という概念がありませんので、えさ代や病院代などが払えるかどうかが相当程度考慮されるのではないかと考えます。

これらを示す証拠として、従前の飼育状況(どちらが世話をしていたかなど)や別居後の飼育状況を表す写真、えさ代などのレシートなどが必要になるかもしれません。」

家族同然にかわいがっていたとしても、法律ではペットはあくまでも「物」として判断されます。所有権を得るためには法律上どう判断されるのか考え、準備をしたほうがよいようです。

 

 

*取材協力弁護士:琥珀法律事務所 川浪 芳聖先生(弁護士の役割は、一言で表すと「法的問題の解決」ですが、依頼者さんにとっては、解決(結果)に至るプロセスも非常に重要だと考えています。依頼者さんの話をじっくり聞いて、丁寧に説明することを心がけています。)

*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。

*画像はイメージです(某編集者の愛犬)

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