最近、読み方がさっぱりわからない、いわゆる『キラキラネーム』をよく見かけるようになりました。20年ほど前ですが、子供に『悪魔』という名前をつけようとして、裁判になった通称『悪魔ちゃん事件』という事件(?)がありました。
(悪魔ちゃん事件→https://yourbengo.jp/gyousei/951/)
自身の名前は、自身では決められません。親がつけた名前で、いじめられたり、いちいち名前の読み方を説明して恥ずかしい思いをしたり…。親がくれた名前といえど、名前のせいで嫌な思いをしたら、「好きでこんな名前になったんじゃない!」と思いますよね。
では、そんな名前をつけた親を訴えることはできるのでしょうか?
あまり知られていませんが、家庭裁判所における審判を経れば、氏名は変更できる余地があるのです。現行法は、氏名などの変更について、以下のような手続きを用意しています。
・子の氏の変更許可
両親が離婚した後に、子どもの氏(子どもの戸籍)を親権者の方に変更するための手続き。
・氏の変更許可
戸籍上の氏名のうち、「氏」について変更するための手続き
・名の変更許可
戸籍上の氏名のうち、「名」について変更するための手続き。
このように複数の手続きが用意されているということは、正当な手段を用いれば、自身の氏名は変更できる余地があるということです。
親御さんの命名権に対して、これを不法行為に基づく損害賠償請求するには、具体的な損害が発生している必要があります。また、損害との関係では、命名した行為との因果関係が存在しているのかについても問題となりえます。
こうして考えていくと、定められた手段を用いて氏名を変更するなどの手続きをとることなく、実際に生じた損害との因果関係を立証するのは至難のわざといえましょう。嫌であれば、その理由とともにこれを家庭裁判所の審判で変更するべきだからです。
結論としては、金銭賠償については難しいと言えるでしょう。なお、時効の起算点の捉え方次第ですが、命名から数十年立っている場合、時効(除斥期間)の問題をもはらんでいることは指摘できるでしょう。
*執筆・監修/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。
*執筆・編集/アシロ編集部
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