『前科があると海外旅行ができなくなる』と聞いたことはありませんか?
「え、じゃあ2年前に万引きで捕まったから友達と旅行いけないの?」
「昔、スピード違反で罰金になったから私は海外に行くことが無理なのか…。」
このように思う人もいるのではないでしょうか?たしかに、旅行先や移住先の国の身になってみると、わざわざ犯罪行為に手を染めた人を自国に迎え入れたくはありませんよね。
この記事では『前科があると海外に行くことができなくなる?』という噂の真相についてお伝えします。
この記事は、琥珀法律事務所の川浪 芳聖 先生に監修いただきました。
前科があると出国や入国に制限がかかる
結論からお伝えすると、前科があると海外旅行できないというのは半分本当、半分デタラメです。前科があると『①パスポート発行』『②諸外国による受け入れ』の2点で制限がかかってしまいますが、どんな前科でも出入国NGというわけではありません。
◆パスポートの取得が認められない
出国の際には必ずパスポートが必要になりますが、以下に該当する方は基本的にパスポートを発行してもらえません。
- 死刑、無期もしくは長期(2年以上)の刑にあたる罪で起訴されている者、またはこれらの罪を犯した疑いを受け、逮捕状、勾留状、勾引状などが発行されている者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えるまで、または、執行を受けることがなくなるまでの者(つまり、執行猶予期間を含む)
- 旅券法違反により処罰された経歴がある者
パスポートを取得できなければ、当然出国できない=海外旅行はできません。
◆諸外国による受け入れを認められない
パスポートの発行が認められても、その国の入国審査をクリアできなければ入国が認められません。入国審査には質疑応答や指紋登録などがあり、前科について記載されているビザの提出まで求められる場合もあります。
入国許可の基準は国によって異なるため、諸外国大使館や領事館に問い合わせてみてください。
自由の国アメリカは最も入国審査が厳しい?
入国審査の厳しい国の代表例がアメリカです。アメリカに入国するためには、パスポートに加えてビザを発給してもらう必要があります。
では、どうしたらビザを発給してもらうことができるのでしょうか?過去に前科がある人は、判決を受けた裁判所に判決謄本を発行してもらい、それを大使館に提出し、ビザ発給のための審査を受ける必要があります。
つまり、犯罪歴を記した公的文書を裁判所から受領して提出しなければならないということですね。
ここまでお読みになり、「申告しなければ、ビザを提出せずに済むし前科もバレないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それは絶対にやめましょう。なぜなら、過去に有罪判決を受けた事実を隠していることが発覚した場合には、未来永劫アメリカに入国できなくなるからです。
「もう完全に信用できないから、二度とアメリカに来るな」ということですね…。
いかがでしたか。前科があると絶対に海外旅行することができないというわけではなく、審査にかけられるだけということです。罰金刑のみの軽微な犯罪でしたらほぼ問題なく海外旅行ができるでしょう。
【関連記事】前科がつくデメリット8つ|前科を回避するには?
*記事監修弁護士:琥珀法律事務所 川浪 芳聖先生(弁護士の役割は、一言で表すと「法的問題の解決」ですが、依頼者さんにとっては、解決(結果)に至るプロセスも非常に重要だと考えています。依頼者さんの話をじっくり聞いて、丁寧に説明することを心がけています。)
*取材・文:アシロ編集部
【画像】イメージです
*sasaki106/ PIXTA(ピクスタ)