法律の落とし穴?リベンジボイスは現在の法律で取り締まれないって本当?

リベンジボイスとは性行為中に録音していた音声を勝手に公開することをいいます。リベンジポルノが、性行為の相手の性的な画像や動画を勝手に公開することなのに対し、リベンジボイスは音だけを公開することに特徴があります。どちらも、元交際相手や元配偶者本人の許可なく公開しているという点で共通しています。

その目的が “フラれた腹いせ” …つまりリベンジ(復讐)であることから、このように呼ばれるようになりました。

2014(平成26年)にはリベンジポルノをした人を罰する“リベンジポルノ防止法”(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が成立・施行されましたが、実はリベンジボイスはこの法律では処罰の対象になっていません

では、リベンジボイスをしても何の罪にも問われないのでしょうか?

 

この記事は、法律事務所アルシエンの日高義允先生に監修いただきました。

 

 “声のみ”の場合はリベンジポルノ防止法違反に該当しない

リベンジポルノ防止法で罰せられる対象になるのは、あくまでも “性的な写真動画を本人の承諾なく公開すること” です。

これに対して、リベンジボイスは公開するのが”音声のみ”であるため、この法律では罰することができません。

とはいえ、自分のプライベートの性的な声や音を勝手に公開され、それを不特定多数の人が聞いていると思うと気持ち悪くてたまりませんし、犯人に対して「許せない」「やめてほしい」と思うのが普通でしょう。

 

別の罪に該当する可能性はある

リベンジボイスはリベンジポルノ防止法の対象にはなりませんが、名誉棄損罪、脅迫罪、ストーカー規制法違反(ストーカー行為等の規制等に関する法律)に問われる可能性はあります。

 

  • 【名誉棄損罪】

名誉棄損罪は、人の社会的評価の低下をもたらす情報を、不特定多数の者が認識可能な状態にした場合に成立する罪で(刑法230条1項)す。

リベンジボイスの内容によっては、名前勤務先、通学先も録音されているケースもあり、内容次第で性的な声を発している人物がどこの誰か特定できてしまうこともあります。また、音声の内容によっては、「性的にふしだらだ」といった印象を抱かせ、社会的評価を低下させられることもあります。

このようなケースでは、声の持ち主の名誉を棄損したとして名誉棄損罪に該当する可能性があります。この場合の罰則は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

 

  • 【脅迫罪】

刑法222条では”生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者”には脅迫罪が成立すると定められています。

リベンジボイスを公開する前に「喘ぎ声をネットにばらまくぞ」などと脅した場合には、脅迫罪に該当する可能性があります。

脅迫罪の罰則は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

 

  • 【ストーカー規制法違反】

ストーカー規制法では、恋愛感情が満たされなかったことの恨みを晴らすために名誉・性的羞恥心を侵害する行為が規制されています(2条7号、8号)。

リベンジボイスは、フラれた仕返しに、性行為中に録音していた音声を公開して、相手の名誉や性的羞恥心を害することですから、まさにストーカー規制法の対象にあたるでしょう。ストーカー規制法違反に該当すれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に問われることになります。

 

撮らせない・録音させないことが重要

リベンジボイスやリベンジポルノを防ぐためには、いくら心を許している相手だとしても性行為中、撮影させたり、録音させたりしないようにすることが重要です。

ネット上に公開される情報は拡散力が高く、不特定多数の手に回ってしまうとデータすべてを削除・回収することは不可能に近いため、どれだけ自分で自分の身を守れるかが鍵になります。

被害に遭ったことが分かった場合には、一刻も早く警察に相談することをおすすめします。

 

 

*記事監修弁護士:アルシエン法律事務所 日高義允先生(IT法務と刑事事件に注力しています。IT法務では、システム開発、アプリ開発、WEBサービス等をめぐる紛争や契約書・利用規約作成等に対応しています。また、刑事事件では、若手経営者からの依頼も多く、経営周りも含めたサポートを心がけています。)

*取材・文:アシロ編集部

【画像】イメージです

*masa / PIXTA(ピクスタ)

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