Googleに逮捕歴の削除を求めた男性が敗訴…どんな基準がある?

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1月31日、会社経営者の男性がGoogleで自分の名前を検索すると振り込め詐欺事件の逮捕歴が出るとして、結果の削除を求めていた裁判で、最高裁が上告を受理しない決定をしたことが判明。

これにより、一審・二審の請求棄却判決が確定。男性は敗訴することに。なお二審で東京地裁は棄却理由について、「振り込め詐欺に対する社会的関心は高く、事件で男性の果たした役割は決して小さくはない」と指摘。

執行猶予から6年が経過している状態だとしても、逮捕情報を公開する必要性を否定できないとしました。

 

削除要求が認められたこともあったはずだが

検索サイトに自分にとって不利益な情報が掲載された場合、男性のように、裁判所に削除を求め訴えるケースが増加。中には要求が認められたこともありました。

削除要求が認められるか否かの基準は一体どこにあるのか。また、今回の判決について弁護士はどのような見解をもっているのでしょうか。

法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。

 

弁護士は今回の判決をどう見た?

「犯罪報道の削除については、最決平成29年1月31日が基準を示しています。

「検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当」

 

この基準によれば、逮捕歴の削除が認められる余地がほぼないということになります。そのため、上告を認めなかったことも当然という結論になるかと思われます。

もっとも、この結論がよいかというと、全くそんなことはなく、変える必要があると考えています。この決定は、実際上、「犯罪者はずっと晒しておけ」といっているに等しい内容であり、これは私刑を容認しているのと同義です。

そのため、少なくとも一定程度の時間が経過しているものについては削除を認めることができるような基準を定立すること、少なくとも運用においてそのようなあてはめをするようなことを裁判所がしていくことが必要と考えます」(清水弁護士)

 

削除基準については明確なものがあるようですが、法律が現状に追いついているとはいえないようです。今後、時代にあった法律が定立されることを期待したいものです。

 

*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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