離婚する際、未成年の子の親権者になって、離婚後に元配偶者から養育費を支払ってもらっているという人は少なくないかと思います。
それでは、離婚後に仕事をクビになってしまい、離婚したときよりも収入が減ってしまった場合、元配偶者に養育費の増額を請求することは出来るのでしょうか? この点について解説してみたいと思います。
■どんな場合に養育費の変更が認められるのか
まず、どういった場合に養育費の変更が認められるかですが、これは離婚後に“事情の変更”がある場合と規定されています(民法880条)。
事情変更として認められるのは、子どもが大きな病気をしたり、進学したりすることで、特別の費用が必要になった場合や、義務者の収入が失業等で減少した場合、権利者の収入が増加した場合などとされています(冨永忠祐編・『離婚事件処理マニュアル』より)。
この点、権利者(養育費をもらう側)の収入の減少によって事情変更が認められるのは、そのような状態がある程度続いていることが必要だと考えます。収入の減少が一時的なものに過ぎない場合には、事情変更には当たらないと考えます。
■仕事をクビになったケースでは?
仕事がクビになって収入が減ったとしても、再就職することで再び収入を確保することが出来ますので、失業状態が一時的なものに過ぎない場合には、事情変更として認められず、養育費の増額請求は認められないと考えます。
なお、仕事をクビになって収入がなくなってしまった場合には、受給要件(本人に就職しようとする意思と能力があること、離職日以前の2年間に被保険者期間が12カ月以上あること)さえ満たしていれば、国から失業保険を受け取ることが出来ますので、再就職するまでの間の足りない生活費は、失業保険によって賄うということも考えられます。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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