「仕事がきつい」「給料が安い」「上司のパワハラがひどい」「職場での人間関係がうまくいかない」
色々な理由で今の仕事を辞めたいと思っている人は多いと思います。
でも、自分が辞めてしまうとシフトに穴を開けてしまう。同僚にしわ寄せがいく。上司から、「代わりの人が入るまで辞められない」と言われた。何かにつけて辞めるに辞められないという人も多いと思います。
代わりの人が入るまでの期間が短く、自分が我慢できる範囲であれば、波風立てずに辞めるために耐えるというのも選択肢かもしれませんが、次の仕事が決まっていたり、どうしても我慢できないというケースもあると思います。
そういった場合、法的にはどうすれば良いのか考えてみます。
■まずは雇用契約書と就業規則を確認しよう
会社と労働者の関係性を決めているのは、雇用契約です。入社時に雇用契約書を取り交わした覚えがある人は、まずはそれを探してください。退職についても、規定されているはずです。
契約書を取り交わした覚えがない、取り交わしたかもしれないけど無くしてしまったという人は、会社に就業規則がないか確認しましょう。
それなりの規模の会社(従業員が常時10名以上いるかどうか、が目安です)であれば、就業規則があるはずです。
そして、就業規則がある以上、その内容は従業員に周知しておかなければいけませんので、内容を確認してみましょう。そこにも、退職の際のルールが規定されているはずです。
そういった、会社と従業員を繋ぐルールを守って退職の手続に則っていれば、あなたは自由に退職することが出来るというのが大原則です。
そのことを、上司なり社長に突き付ければ、「あと半年、あと3ヶ月」などと言われる筋合いはないのです。
あなたが、このような正しい理論で退職を願い出れば、まともな会社であれば、渋々かもしれませんが、退職手続をとってくれると思います。
■退職にあたりトラブルが起きたら
問題は、あなたが正しいことをいっているにもかかわらず、難癖をつけるなどしてなかなか辞めさせてもらえない、また、辞めるまでの期間に嫌がらせをしてくるなど悪質なケースもあります。
実際にあったひどい例では、退職について会社に委ねていたら、退職日をボーナス支給日の前日に設定されて、ボーナスがもらえずに退社扱いにされたというものもありました。退職をめぐるトラブルは結構増えてきていると実感します。
また、「お前が辞めるなら代わりの社員を見つけろ」などと言われ、トラブルに発展するケースも少なくないようですが、代わりの社員を見つける法的義務はないので対応する必要はありません。
穏便に退職したいものですが、「自分の会社は危ないかも!?」と思ったら、お気軽に弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
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