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SNSやブログなどを利用している人は多いと思いますが、個人から情報発信をすることができる、ということは一昔前からすると非常にすごいことです。
個人の情報発信が増えるということは、それだけ自由闊達な議論ができることにつながるため、プラスの側面があるといえます。
しかし、これを悪用して、稀にデマを流す人もいます。誰も傷つかないデマであれば問題ありませんが、場合によっては誰かを傷つけたり、社会の混乱を招いてしまうこともあります。
このようなデマ情報を公開した場合、どのような問題があるでしょうか。
■無害なものであれば罪に問われない
仮に、デマを発信したとしても、そのデマが誰にも信用されないものであるとすれば、何の影響力もないため、問題にされることはありません。
しかし、デマにより他人に迷惑をかけるようなことになれば、いろいろな法律に抵触する可能性が出てきます。
■風説の流布
デマといってもいろいろな種類があると思いますが、たとえば上場企業についてのデマを流して、株価に影響を及ぼすことを目的にしている場合、「風説の流布」に当たるとして、金融商品取引法違反として摘発される可能性があります。
風説の流布は、合理的な根拠のない事実やうわさを、不特定多数の人に伝達される状態に置くと成立し得ますが、ネット(ブログやSNS)はそれ自体不特定多数の人に伝達される状態にあるものです。
そのため、単に個人の予想や願望を発信することにどとまらず、相場の変動を目的にしたデマを流せば、金融商品取引法違反に問われる可能性があります。
■名誉毀損
名誉毀損とは、社会定期評価の低下を招く表現を指します。
社会的評価とは、ごく簡単にいえば、一般にどのように認識されているのかということであり、マイナスに受け取られる事態があれば名誉毀損になり得るということになります。
株価をマイナス方向に仕向けようとする風説の流布が成立するような場合、同時に名誉毀損罪も成立し得ます。
また、上場企業でなければ株価についての問題は通常生じないですが、未上場企業で会っても、社会の評価の中で活動していることは当然であるため、その評価を不当に下げられる事態に至れば、名誉毀損罪が成立する可能性があります。
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■業務妨害
デマが流されることで本来不要な業務が発生したり、正常な業務に支障を来たされた場合、業務妨害罪が成立する余地があります。
風説の流布が成立するような場合は、業務妨害罪も成立しているといえる場合も多いだろうと思います。
また、名誉毀損罪と同じく、未上場企業においても、デマによって当別の出費が生じたり、特別の対応をする必要が生じた場合には、業務妨害罪が成立する可能性があります。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
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