次の広告、何が問題かお分かりになりますか?
「化粧品Aは、アンチエイジングの最高峰、当社だけがもつ最新の技術でシミを消し去り、シワもピンと伸びます。感動の声が続々! 今この商品(2万円)をお申し込みいただくと、A商品が今だけ半額でお買い求めいただけます。
さらに、特別に商品B(3,000円相当)をただでプレゼント! さらに、先着20名様限定で商品C(1,000円相当)もプレゼントしちゃいます。今すぐ、お申込みください!」
どこかで見たことがあるような宣伝ですが、この広告、法的には問題があります。 今回はこの広告の問題点について解説したいと思います。
■広告を規制する法律「景品表示法」とは
広告を規制する法律はいくつかありますが、その1つに「景品表示法」という法律があります。
この法律では、一般の消費者に対し、実際よりも著しく「優良であると誤解させる表示」や、実際よりも取引の相手に著しく「有利であると誤認させる表示」などが禁止されています。
前者は「優良誤認表示」といい、後者は「有利誤認表示」といいます。
■冒頭の宣伝は何が問題?
景品表示法について軽く触れましたが、冒頭の広告の場合は、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」、「総付景品(そうづけけいひん)」の3つの問題点がありますので、紹介していきます。
(1)優良誤認表示について
まず、1点目の「優良誤認表示」についてですが、化粧品には通常、シミを消し去る効果やシワをピンとのばす効果は認められないのが通常です。
ですので、「シミを消し去り、シワもピンと伸びます」の部分は優良誤認表示とされる可能性があるでしょう。
シミを消し去ったり、シワを伸ばしたりすることが出来ない場合がほとんどなので、通常は「シミを隠す」「シワを目立たなくする」といった表現が使われることが多いです。
(2)有利誤認表示について
次に、2点目の「有利誤認表示」についてです。
冒頭の広告には、「今だけ半額」などと表示してありますが、このような表示を二重価格表示といいます。
二重価格表示をするには、その商品について、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比べる対象とする場合には問題ありませんが、そうではない場合には、有利誤認表示とされるおそれがあります。
そして、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とは、半額表示を行う直前の8週間のうちに、通常価格で販売されていた期間が4週間を超える場合には許されます。
一方で、そのような販売実績がない場合には、有利誤認表示とされるおそれがあります。また、「今だけ」、「先着20名様限定」などの表示も、実際にはそうでなかったとすれば、有利誤認とされるおそれがあるでしょう。
(3)総付景品について
そして、最後の総付景品の問題点についてです。
商品を買ってくれた人全員に提供される景品については、「総付景品」と呼ばれますが、景品表示法は、取引価格の20%を超える景品を提供することを禁じています。
先ほどの広告ですが、A商品(1万円)を買うと、3,000円相当の商品Bと、1,000円相当の商品Cがもらえるわけですから、取引価格に占める景品の金額は40%となり、違反となります。
■景品表示法に違反したらどんな罰則が?
景品表示法に違反すると、場合によっては、問題がある広告をした商品の売上げの3%分の課徴金を課せられるおそれもあります。
これまで、燃費の不正問題で景品表示法違反に問われたある自動車会社には、約4億8,000万円の課徴金、ある健康食品会社には、約5,400万円の課徴金が課されています。
課徴金の制度が始まったのは昨年4月からですから、今後、同様の例が積み重ねられていくものと思われます。
事業者の皆さんは、広告表示について、十分注意する必要がありそうです。ご相談したいことがございましたら、是非一度いらして下さい。
*著者:弁護士 齋藤健一郎(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。景品表示法、薬機法に詳しく、多数のセミナー開催実績・メディア掲載実績あり。)
【画像】イメージです
*miya227 / PIXTA(ピクスタ)
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