ゴールデンウィークも終わり、これからだんだんと暖かくなっていきますね。ただ、そうなってくると食べ物の取り扱いに気を遣わないといけませんよね。
例えば、飲食店で食事をした後に、嘔吐や下痢などに悩まされたり、寄生虫を食べてしまったり……。そういった被害に遭った場合に損害賠償ができるのか、どうすればいいのかについて考えてみました。
■食中毒!? と思ったら
生ものなどを食べた後、おなかの調子が悪い、吐き気がするといった場合、食中毒が疑われます。
重篤な症状になる前に病院で診察を受けましょう。食中毒にもさまざまな原因があり、症状が出るまでの期間等も異なるようです。
まずは、病院で原因を特定してもらうことが第一歩だと思います。医師との問診等により、特定の食品からの感染が明らかになれば、医師から保健所へ届出をして食中毒と認定してもらうことも出来る可能性があります。
食品衛生法では、医師は食中毒患者と診断した際は、最寄りの保健所長に届けなければいけないということになっています。
保健所から食中毒であると認定されてしまえば、飲食店は営業停止等の処分を受ける可能性があります。
また、そこに至らずとも調査などが入るとそれだけでよからぬ噂が立ち、客足が途絶えることもあります。それを避けるために、示談を求めてくる飲食店も有り得るでしょう。
■個人で食中毒になった場合
よくニュースなどで目にするのは、「集団食中毒」というもので、一人だけが食中毒になったというのは案外目にしません。
それは、一人だけが食中毒になったとしても、そのお店で飲食したことが原因で食中毒になったかどうかという原因が特定しにくいからです。
例えば、同じ日にその飲食店で食事をした何名もが同じ症状に悩まされているというのであれば、まさにその飲食店に原因があると判断しやすいですが、たまたま一人だけが食中毒になったというと、ほかで食べた物が原因じゃないかという可能性も有り得るからです。
ただ、一人だけが食中毒になったといっても、絶対に損害賠償が認められないというわけではありません。はっきりとした原因さえ判明すれば、賠償は受けられます。
■損害賠償の中身
賠償の対象となるのは、まずは食べた料理の代金でしょう。誰も、食中毒になるような料理を注文したわけではありません。
まともな料理を出していない以上、少なくとも食中毒の原因であると特定された料理の代金は返還を受けられます。
次に、病院にかかった費用、交通費なども賠償を受けられます。すでに支払った病院代やタクシー代などのレシートは取っておくようにしましょう。
その他、慰謝料、仕事を休んで収入が減った分を補てんするための休業損害分なども賠償の対象となります。慰謝料は、基本的には完治までにかかった入院、通院期間などをもとに算定します。
収入が減った分については、例えば直近3か月分の平均的な金額からその治療期間にいくらくらい収入が減ったかなどを計算すれば算定できます。
損害の計算は個別的な事情にも左右されます。お近くの弁護士さんにご相談することも一つの手です。きっと、皆さんのお力になってもらえると思いますよ。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
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*freeangle / PIXTA(ピクスタ)
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