あなたはどれくらい知ってる?裁判の基礎知識

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「『裁判ってなに・・・??』ってことを、誰にでもわかるように分かりやすい言葉で説明してください。」

シェアしたくなる法律相談所某スタッフから寄せられたこのお題に、僕は頭を悩ませている。

辞書的な意味でいえば、「裁判とは、法律上の一定の効果の発生を目的として、訴訟手続においてなされる裁判機関の意思表現をいう」とかなんとかいって小難しい言葉で逃げれば良いが、「誰にでもわかるようにわかりやすい言葉で」という注文が付いている。さて、困った。

弁護士なら簡単に答えられそうなこのお題ですが、「人間とは何だ?」というお題のような難解な側面を持っているようでいかにも難しいと感じます。とやかく言っていても終わらないので、答えてみます。

 

■裁判には大きく分けて刑事裁判と民事裁判がある

まず、日本における裁判には大きく分けて2種類あると理解してください。

*編集部作成

その一つは、刑事裁判です。これは、罪を犯したと疑われる人が、検察官により起訴(有罪と認めてもらうために裁判所に訴えを提起すること)されることにより始まる手続です。

検察官は証拠を提出して、裁判官はこれを見聞きして、被告人(検察官により訴えられた人)が有罪かどうか、有罪である場合にどのような刑を科すべきかを決めます。これがまず一つ。

もう一つは、刑事事件以外の裁判です。正確には語弊があるかもしれませんが、「民事裁判」と言ってしまってもいいかなと思います。刑事裁判が、犯罪に関する有無等を決める裁判であるのに対し、民事裁判は主に人や会社の揉め事を解決する手段と位置付けられます。

分かりやすい例を挙げると、「貸したお金が返ってこないから返してもらいたい」という人と、「お金を借りた覚えがない」という人が揉めたときに、どちらが正しいか決める場が民事裁判ということになります。

細かく分類すれば、刑事裁判以外の裁判としては、夫婦や親子といった身分関係に関する人事訴訟、国や市町村を相手にして起こす行政訴訟といったものもありますが、犯罪に関する裁判以外の、揉め事を解決するための裁判という意味ではこちらの分類になります。

 

■一般的な民事裁判について

ここでは、一般的な民事裁判についてご説明いたします。先ほどの、「お金を貸したが返ってこない」という例でご説明します。民事裁判では、原則としてお金を返して欲しい人が返してくれない人を訴えることから始まります。

訴える人を「原告」、訴えられた人を「被告」と呼びます。まず原告は、「訴状」という、被告を訴えたい内容を記載した書面を裁判所に提出します。細かいことをいえば、印紙を貼ったり、裁判所に送達用の郵券を予納したりといったことも必要です。

訴状の内容も重要です。裁判所で訴えの対象となるものかどうかがチェックされます。裁判は、法律で解決できる問題しか取り扱いません。大袈裟な例えですが、「『あの人は僕のことを好きになるべきだ』ということを裁判してくれ」と、いくら訴状に熱い思いを書いても、裁判にしてもらえません。

この訴状が被告に届けば、裁判が始まります。もし、住所が間違っていて被告に届かなければ、裁判は始まりません。実際、裁判実務をしていて、この訴状が届くかどうかというところで悩ましい事件もたまにあります。

被告に訴状が届いたら、被告は訴状に対する意見を書いた「答弁書」という書面を出すよう、裁判所から指示されます。もし、この答弁書を出さずに裁判に欠席してしまうと、訴状に書いてあることについて争わないという態度とみられ、敗訴してしまうことがあります。

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ざっと、こんな感じで説明してみましたが、お分かりいただけましたでしょうか。あまり上手く説明できた気はしませんが、これくらいが僕の限界のようです。文字数制限が憎いです。

 

*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)

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河野先生
河野 晃 こうのあきら

水田法律事務所

兵庫県姫路市本町68-170大手前第一ビル3階

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