以前から新卒で入社した人は3年以内に3割が辞めると言われていましたが、最近も転職市場は売り手市場が続いています。年収・キャリアアップややりたいことの実現などの為に入社後3年経たずに新卒で入社した会社を辞める人はやはり相変わらず多いのではないでしょうか。
とはいえ、新卒で採用した会社からすると3年未満で辞められてしまっては困るものです。
企業によっては「今まで育ててきたのに退職するとは何事だ! 今までの研修費用を全額返せ!」と言うような会社もあるようです。果たして、こういったことを会社から言われた場合、研修費を返却する義務はあるのでしょうか?
Q.新卒3年未満で退職する場合、研修費用を返す義務なんてあるの?
A.全くありません。研修は会社が「業務」の一環として命じているものなので。
新卒の学生を採用する会社のほとんどが程度の差こそあれ、入社後しばらくは「新人研修」を行うでしょう。研修を実施する会社側からすれば、研修の実施には当然コストがかかります(講師や研修会場の費用など)。
また、研修中であっても新卒社員には当然給与が支払われますから、確かに会社からするとコストをかけて教育して、さらにその間給与まで支払っていたのに辞められたのでは大損だ、と考えるかもしれません。
それでも、研修はあくまで「勤務時間」に行われているものですから、当然それを受けるのは「仕事」になるわけです。
よって、研修期間であろうが仕事は仕事なので、研修費用を返還する義務など全くなく、仕事として研修を受けたのだから給与をもらう権利だけが残ることになるのですね(ただし、任意の研修を受けるため、その費用を会社から「貸与」されていたなど、何か特別な契約がある場合には返還義務が生じる場合もあります)。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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