千葉市は2017年1月18日に「男性保育士活躍推進プラン」を策定し、男性の保育士が活躍することで、保育の質向上や子どもの健全な成長に繋がると考え、各種の施策に取り組む考えを明らかにしました。
しかし、一方で、男性の保育士に女子の着替えなどをさせないで欲しいという母親からの要望が寄せられ、男性保育士のあり方が現在話題になっています。
従来、社会進出における男女平等といえば、男社会に女性が参画することを中心に論じられてきました。近年では、看護師や客室乗務員、保育士などかつて女性のものと考えられていた職域に男性が進出することも増えてきました。
そこで、今回は、「職業における男女平等」を実現する上で、必要な対策は何かについて考えて行きたいと思います。
■それぞれの職域における両性の必要性について理解を促す
女性の社会進出は、女性と男性が平等なのだという理屈だけでなく、女性の視点を取り入れることが企業の利益に叶うことに社会全体が徐々に気づいていくことによって、進んで行きました。
男性の進出についても同じことで、今まで女性の職域とされていた分野に男性が必要であることを、社会に認知してもらうことが必要でしょう。
例えば、今回問題になった保育士については、より家庭に近い環境で子の保育を行うためには男性保育士が必要であるといえるでしょう。
このようなポイントを1つ1つあげて丁寧に説明し、利用者や社会全体の理解を得ていくことが重要と考えます。
■内部の教育や適性検査の充実
男性保育士に女児のオムツ替えをさせないで欲しいと訴えた利用者は、近年よく見られる小児性愛者による犯罪に子が巻き込まれるのではないかという不安があるものと見受けられます。
幼い子を保育園に預ける利用者の中には、このような不安を持つ人も決して少なくないでしょう。
男性保育士がいる保育園に女児を安心して預けてもらうためには、このような不安の声を無視することはできないでしょう。
このような不安を解消するために、保育園全体、各保育士がどのような心構えで職務に従事すべきか、定期的に研修の機会を設ける、採用時に適性検査を行うなど、問題のある人物は勤務していないことを理解してもらうための施策を保育園側が採ることも必要です。
女性が社会に進出して行くのにも実に時間がかかりました。女性差別は今もなくなってはいません。
男性についても同じことが言えるでしょう。むしろ、今まで男女平等といえば、女性差別の解消が問題になっていたので、男性への社会差別に関する理解認識は、まだまだ乏しく、解決には女性よりもさらに長い時間がかかるかもしれません。
しかし、職業を選択する自由があることは女性も男性も変わりません。そのことを前提に、問題を1つ1つ解決して行くことが必要です。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
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