11月18日、42歳の男性が、中学1年生の12歳の女の子にラブレターを渡したり、待ち伏せをしたりしたとして、ストーカー規制法違反の容疑で逮捕されました。警視庁の警告にも応じず待ち伏せ行為を繰り返しており逮捕に至りましたが、取り調べに対し、容疑を認めているとのことです。
SNSといったインターネット上での嫌がらせを規制対象に入れたストーカー規制法改正案が今国会で成立する見通しとなっていますが、今回は皆さんにストーカー規制法ではそもそもそういった行為が規制されているのかなどについて解説していきたいと思います。
■ストーカーという言葉が一般的に知られるようになったのは
「ストーカー」という言葉が日本で市民権を得たのは大体ここ20年くらいのことだろうと思いますが、皆さんもご存じのとおりストーカーから殺人事件まで発展ケースも見られるなど、軽く見られるものではありません。
わが国では、1999(平成11)年に起きた桶川ストーカー殺人事件などをきっかけに、ストーカー行為を規制する法律(ストーカー行為等の規制等に関する法律。以下、「ストーカー規制法」といいます。)が翌2000(平成12)年に制定され、同年に施行されて今日に至っています。
しかし、残念ながらその後もストーカーが殺人にまで至るケースも無くなっておらず、尊い命が犠牲になっています。
■ストーカー規制法の内容は?
ストーカー規制法の内容について、簡潔にご説明します。
ストーカー規制法では、「つきまとい等」として下記のような8種類の行動を規制しています。
①つきまとい、待ち伏せ等
②行動監視している等と告げる等
③面会等の要求
④著しく粗野又は乱暴な暴行
⑤無言電話、拒否されているにもかかわらず連続して電話、メール等
⑥汚物、動物の死体等を送る等
⑦名誉を害する事項を告げる等
⑧性的羞恥心を害する事項を告げる等
そして、その「つきまとい等」を反復することを「ストーカー行為」と規定しています。そして、ストーカー行為をした者については、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられると規定されています。
また、ストーカーの被害者が警察につきまとい等をされていることを申し出た場合、「警告」をしてもらうことができます。さらに、警告を受けたにもかかわらず、行為が止まらない場合、「禁止命令」を出してもらうことができます。その禁止命令に反してストーカー行為をした場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられると規定されています。
■実際に会ったストーカーの被害を相談すると警察はどう動く?
これまでに、ストーカー関連の相談を受けたことや、ストーカーで逮捕された事件を担当したことがありますが、警察から警告を受けたこともない状態で突然逮捕に至ったという例は個人的には経験したことはありません。警察にストーカー被害について相談に行くと、まずは良くて警告から始まります。
パトロールの強化や被害者への防犯指導で終わるケースもあります。冒頭にご紹介した事件でも、警察署員から口頭で警告した(ストーカー規制法に規定されている「警告」なのかは明らかではありません)にもかかわらず、待ち伏せを行ったとして逮捕されたようです。
ストーカー規制法については、今国会において厳罰化等が進められているようですが、少し罰を重くしただけでは被害を防止することは難しいように思います。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
【画像】
*wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)
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